任務と紅茶の関係性 ページ10
『…ところで貴方、お菓子作りは得意かしら?』
「は?」
にっこり笑った彼女に、俺は思わず素がでかけた
任務後、キティに連れて来られた喫茶で俺達はお茶会と洒落込んでいた
静かな店内には客もまばら、俺達は何とも穏やかな雰囲気でお茶を楽しんで…って違う、騙されるな零!じゃない今はバーボンだ、そうだ俺は冷静沈着な探り屋バーボン…少しでも彼女の情報を掴まねば
「あの、外でキティと言うのも何ですし…何か呼び名を教えて頂いても?」
『…好きに呼んで?仔猫って柄でもないしね』
「そうですか?…そういえば貴方は何歳なんでしょうね?見た感じでは大分若いようにお見受けします」
『ふふ、どうかしら…貴方が好きに決めていいわよ』
「…」
意気込んで質問を重ねても彼女は時折静かに微笑むか曖昧な返事を返すだけ
基本的に無表情のままじっとこちらを見詰めてくるもんだからやりにくいったらない
わかったのは彼女は所作が綺麗なこと、右利きなこと、紅茶には砂糖は入れずにミルク派なこと、仮面の下から時々覗く笑顔が思いの外かわ
…って違う、しっかりしろ俺何言ってんだ!!?
「…(くそ、何でこんなやりにくいんだ)」
『ふふ…貴方も案外、顔に出やすいのね…』
「貴方も、ですか…それは一体誰と比べているんです?」
『さぁね…そうだ、1つ忘れていたわ…ところで』
ここで冒頭に戻る
ぽかんとした俺に彼女は右耳に髪の毛を掛けて足を組み替えた
「お菓子…ですか?したことないですよ…料理も最低限のものくらいしか」
『あら意外、貴方は何でもそつなくこなしそうだけど…』
「それはどうも、ですが独身男性なんてそんなものです…作る機会なんてそうありませんからね」
『…そう、まぁなら良かったわ…また得意分野が増えるわよ?』
「え?どういうことでしょうか?」
手を上げてマスターを呼んだ彼女は徐に俺を指さしてよそ行きの笑顔を張り付けた
『明日から2週間、頼めるかしら…紅茶と珈琲は念入りにね』
「畏まりました」
『悪いわね…でも私、貴方の淹れる紅茶が一番好きなのよ』
「有り難いお言葉です…なに、こちらも人手が増えるのはありがたいですからね」
『助かるわ…彼は頭がいいし、貴方の役にも立つ筈よ』
「それは楽しみですね」
「ちょ、ちょっと…話が読めないんですが?何の話です」
彼女と話しながら老年のマスターは濃い皺を深くして穏やかに笑っているが、俺には彼らが何を言っているのかさっぱりわからない
458人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ココア - え…お終わり…更新……更新お願いします!ずっと待ってます (2021年4月29日 1時) (レス) id: ab23c258b6 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - この作品、とても好きで何度も読み返しています。そして毎回続きが気になる・・・。いつか更新される日がくることを願っております。 (2021年4月24日 15時) (レス) id: ba39ddeb66 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり!?めっちゃ気になる(;´Д`) (2021年4月17日 20時) (レス) id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 途中までですが、読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月21日 11時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しをり - こういう作品、待ってました!更新頑張ってください!応援してます! (2018年7月16日 18時) (レス) id: 0010456d6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奏 | 作成日時:2018年2月19日 0時