閑話休題〜白い小鳥は待ち惚け ページ7
「ん〜…」
今日も俺は、空っぽの部屋でソファに寝転がっていた
「ほっ、と…」
この部屋に明りが点らなくなってからどれくらいたったのか、すっかり日課となった彼女の部屋への訪問
俺は定期的に訪れては掃除したり手品の練習をしたりと彼女の言ったように好きに使わせてもらっていた
だから部屋は彼女が居た時のまま、あの時から何も変わってない
「紅茶も美味しく淹れれるようになったんだぜ?怪盗業だって上手くやれてるし、手品だって…」
でも触っていたトランプを放り出してぽつり、窓から外を見上げて呟いてみても返事の代わりに優しく俺を撫でる手は無い
「早く、見せたいな…」
目を閉じて、俺は初めて彼女に手品を披露した時のことを思い出していた
「いい?ここをよく見てて…これをこうすると」
『え?わぁ…』
「何とさっきAさんが選んだトランプが…じゃじゃーん!」
『凄い、…初めて見たわ』
「え?マジック?見たこと無いの?」
『無いわ…ふふっ、初めて見たのが怪盗キッドのショーだなんて、私は贅沢ね』
「///…あっ!」
簡単なトランプマジックだった、でも目の前で披露すると彼女はきょとんとした後いつもよりずっと幼い顔で嬉しそうに笑ったんだ
『駄目よ、マジシャンが動揺しちゃ…』
「っ今のはAさんが悪い!!」
『あら?人のせいにするなんて酷い紳士ね』
「〜っもう!」
初めて見たその顔に思わずトランプを盛大に取り落とす
わたわたする俺を見てまた優しく笑った彼女にその場は照れ隠しに必死だったけど本当は凄く嬉しくて、それから新作を覚える度に彼女に披露するようになったんだっけ
『快斗、これ』
「へ?トランプ?」
『それを見たら快斗の顔が浮かんだの、柄が珍しいでしょう?…いつもの素敵なショーのお礼よ』
「//あ、ありがと!!」
何回目かのマジックショーの後、彼女は出先で見つけたという月や太陽の神話をモチーフに描かれたトランプセットをくれた
繊細な絵柄のそれはとても美しかった
でもそれ以上にこれを見て俺を思い出してくれたのが嬉しくて…感極まって飛びついた俺を彼女は笑って受け止めてくれた
「Aさん…」
話したいことが沢山ある
マジックの新作も沢山あるし、美味しい紅茶とお菓子の店も見つけた
次は外でデートしたいっていったら彼女はどんな顔をするんだろう
体も大きくなったし、もう犯罪だからって断ったりしないだろ?
Aさん俺、もう高校生になったんだよ
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ココア - え…お終わり…更新……更新お願いします!ずっと待ってます (2021年4月29日 1時) (レス) id: ab23c258b6 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - この作品、とても好きで何度も読み返しています。そして毎回続きが気になる・・・。いつか更新される日がくることを願っております。 (2021年4月24日 15時) (レス) id: ba39ddeb66 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり!?めっちゃ気になる(;´Д`) (2021年4月17日 20時) (レス) id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 途中までですが、読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月21日 11時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しをり - こういう作品、待ってました!更新頑張ってください!応援してます! (2018年7月16日 18時) (レス) id: 0010456d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏 | 作成日時:2018年2月19日 0時