紺碧のお酒物語 〜３杯目〜

目の保養だけどハニトラ ページ4

さてさて、今回も私はとある情報収集のためにパーティへ潜り込むことになっていたのだが…



「お飲み物お持ちしましょうか？これ美味しいですよ」
『ありがとう、でも自分で取るわ』
「お強いとお聞きしましたがワインお好きなんですか？宜しければ今度一杯いかがでしょう？」
『…そうね、考えとくわ』
「取って置きのを用意しますね」
『…』


目の前でにこにこ笑う垂れ目野郎が恐怖でしか無い件について


パーティに潜入して私たちは各々ターゲットに近付き必要な情報を手に入れるのが今回の目的だったんだけど思いの外めっちゃ早く終わったんだなこれが

終わったんだしさっさと撤退しようとした私を彼は引き留めた
ウルウルの子犬みたいな目で私に”折角だしもう少し駄目ですか？…”だなんて何処の世界の女子なら断れるの？(女子の言葉に鳥肌がスタンディングオベーションする私でさえ思わず頷いてたよ)

パーティーは社交場だ、この場にも各界の大物はごろごろいるし…公安としてか探り屋としてか知らんがもう少し情報収集がしたいのだろうと思ったのに反して彼は私にべったりで離れなかった


『…貴方、何のために私を引き留めたの？用があるなら行っていいのよ、私は先に』
「そんなこと言わないでくださいよ…こんなに頑張って貴方を口説いているというのに」
『…』
「僕のことは、お嫌いでしょうか？」



黒のスーツを着こなした金髪が周りのお姉さま方の熱い視線に見向きもせず何故か私に対してだけ甘〜い言葉や眼差しを使ってくること数十分、…
いい加減痺れを切らしてもういいだろうと帰ろうとする私の腕を掴んだまま彼はそっと目を伏せて寂しげに笑った

いやいやお嫌いも何も貴方私のこと嫌いとかのレベルじゃないよねきっと、ここに人が居なかったら隠してる物騒なもんで私のことをどうにかしてやりたいと思ってる程度には敵意むんむんでしょ？

そんな私を喜ばせるような真似して(そりゃこんなイケメン目の保養ですしおすし)一体何を…はっ、まさか…こ、こ、これが噂のハニトラ！？(遅い)




『嫌い、ねぇ…私に聞きたいことでも、あるのかしら？』
「…貴方が教えてくれるのでしたら、沢山あるのですがね」
『さぁね』

さっきまでの子犬バーボンは消え、色気満々むんむんな彼から少し離れるとにこりと笑って見せた

残念だけど組織の秘密とか知らないよ？でもこの顔はやっぱり唯君のことかなぁ…ごめん、どっちにしても１ミリも教えらんなかったわ(全く答える気が無い件)

微笑みに隠した熱→←震えるズレ

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