飼い猫はご機嫌斜め ページ18
Side ジン
『お待たせ…何?その顔』
「…」
久々に一緒になった任務、停めた車の傍で煙草を吹かしていると彼女はやってきた…何故か怪我をして
「…何だ、その首」
『あぁ、さっきコンビニ強盗にあってね…私怪我してる?』
「はぁ?」
さっさと車に乗り込んだ彼女を追って肩を掴むときょとんとした顔を向けられる…気付いてなかったのか?
相変わらずというか何というか…自分に無頓着な奴だな
白い首筋には大きめの切り傷、深くは切れてないみたいだがまだ僅かに血が滲んだままだ
「…」
『…ジン?なっ、ちょ…ん』
「…黙ってろ」
座席に彼女を抑え付け、首筋に顔を近づけた
『、いっ…』
「っ、は、…てめぇは血も甘ぇな、A」
『んぁ…っ、馬鹿』
傷口に舌を這わせると身じろぐ彼女
肩を抑え込んだまま傷口に丹念に舐め上げると勝手に取り出した彼女のハンカチをそのまま押し付けた
「…それで抑えてろよ、止まらなかったらまた舐めてやる」
『…変態、』
「あ?続きもしてやろうか」
『結構よ、…ハンカチが汚れちゃったじゃない』
「ふはっいいだろそんなの…っ、引っ張るんじゃねぇ!」
そのままアクセルを踏み込んで車を発進させると彼女はほんのり耳を赤く染めて外を向いてしまった
その様子に思わず声に出して笑うとむっとしたように俺の髪を引っ張ってくる
…こういうところはガキみてぇなんだがな
『…貴方が何を考えてるのか手に取るようにわかるわ』
「ふん、」
『なのに、…私も唆されたものね、貴方が可愛くて中々怒れないもの』
「はっ、ならキスの1つでもしとけ…!!」
冗談に軽口を返したつもりだったのに、ふいに感じた頬への感触に思わずハンドルを切りそうになった
『あは、…貴方が動揺するなんて珍しいわね』
「…てめぇのせいだろ」
急に車内に広がった静寂、するとタイミングよく信号が赤になる
ハンドルを握ったままそっと隣に視線をやると彼女は俺を見て可笑しそうに笑っていた
片手を伸ばすと自然と彼女の頬が擦り寄せられて
革のグローブ越しに彼女の体温をほんのり感じる、真っ直ぐ此方を見る瞳には銀色が一面に広がって細く歪んでいった
『ふふ、貴方も過保護よね』
「…嫌なら、余所で勝手に怪我してくんじゃねぇよ」
『あら、心配してくれてありがとうって意味よ?…ジン、ありがと』
「…そうかよ、なら」
もう一回キスしろ
そのまま顔を寄せた彼女の唇に、その言葉は丸ごと飲み込まれていった
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ココア - え…お終わり…更新……更新お願いします!ずっと待ってます (2021年4月29日 1時) (レス) id: ab23c258b6 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - この作品、とても好きで何度も読み返しています。そして毎回続きが気になる・・・。いつか更新される日がくることを願っております。 (2021年4月24日 15時) (レス) id: ba39ddeb66 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり!?めっちゃ気になる(;´Д`) (2021年4月17日 20時) (レス) id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 途中までですが、読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月21日 11時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しをり - こういう作品、待ってました!更新頑張ってください!応援してます! (2018年7月16日 18時) (レス) id: 0010456d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏 | 作成日時:2018年2月19日 0時