紺碧のお酒物語 〜３杯目〜

ハンカチだけは純白主義 ページ17

わかったかい？ここで２つ前の話の冒頭に戻るわけだが

…再三のメーデー要求にも関わらず救援が来ない件





あの後私は倒れたおばあちゃまに心優しい小学生の3人組が駆け寄ったのを確認して早々に現場を離脱した

青白い哀ちゃんが某コナン君に何やら耳打ちしてるのを視界の端に捉えたものでね…
目を見開いた彼が口を開こうとした瞬間に逃げた


何度か角を曲がりダッシュ…にも関わらず追ってくるお姉さんコールのホラー感ったらないんですけど
何で追っかけてくんの？君はジン以外への警戒感が恐ろしく低いと思わないかい？



「ねぇ落とし物だってば！！」
『…？』
「やっと止まってくれた…お姉さんこれ落としたよ？」


そのワードに漸く私は振り向いた

足元には息を切らした様子もなくにっこりとあどけない笑みを浮かべている主人公…快斗そっくりだな角あるけど←


『落とし物はしてないはずだけど…？ボウヤ』
「え？そうなの？」
『…そのハンカチは多分、成年女性は使わないと思うわ』


彼が差し出したのはアニメキャラらしきものが描かれた可愛らしいハンカチ…それ明らかに歩美ちゃんのだろ端っこにがっつり名前書いてあんぞ


「えへへ、ごめんね間違えちゃった！！」
『…それで、何？』
「え、っと」

つっと目を細めて聞くと想像していた彼とは違ってたじろいだ様子…あ、身長差で怖いのか？


『…これでいい？悪いけどその腕の物はこっちに向けないで』
「っえ」


しゃがみこんで同じ高さに目を合わせながら腕時計に視線を向けると彼は見事に固まった


「何で…お姉さん、何者なの？」
『…何者、ねぇ…じゃあ貴方は何者？』
「え、ぼ、僕は江戸川コナン！小学生だよ！！その、さっきすごかったからもっと話してみたくて…お姉さんの名前は？」


きらきら笑顔を浮かべる割には瞳の奥はめっさ鋭い…でもちょっと動揺してるの？感情が透けて見えるよ

『何者だなんて聞こうとした相手に、簡単に名前を教えちゃ駄目よ、コナン君…？』
「っ…」
『ただでさえ最近物騒なのに…誘拐されちゃうわよ、私に』
「っ！！あ、ぼ、僕その…」


ちょっと苛め過ぎただろうか、顔色がさっきの哀ちゃんみたいになってきた彼に1つ息をつく
ぴょんとはねている髪にそっと手を添わせた



『1つ忠告よ』
「…」
『良くも悪くも、貴方は目立ちすぎる』
「え」
『貴方にとってそれがどういう意味なのか、…よく考えるのね』
「っ！！？？」


そっと頬を撫でて、私はそのままその場を後にした

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