”ゼロ”ミッション ページ11
埒のあかない2人の間に割って入る、彼女は頬杖をついてじっと下から俺を見上げた
『特別研修よ…ここのお店で2週間、彼に習ってお茶の淹れ方諸々をマスターしてきて』
「はぁ?」
『潜入任務でいつか必要になるわ…あなた見た目はいいし、カフェ店員とかも面白そうね』
「いや意味がわからな…何が面白いって!?」
『あら素が出てるわよ…ふふ、でも私からの直々の”お願い”、まさか…断らないでしょう?』
「…」
ぐっと押し黙った俺を見て彼女は彼に目配せした
じっと俺を見詰める淡い茶色の瞳は俺を上から下まで眺めると自身の白い髭を撫でてにっこりと笑う
「どうぞよろしくお願い致します、私のことはマスターでも爺さんとでもお好きなようにお呼び下さい」
「は、はぁ」
「貴方のことは、何とお呼びすれば宜しいでしょう?」
「えっと」
『そうね…貴方、好きな数字は何かしら?』
「は?また何を」
『いいから』
じっと2人に見られて俺は咄嗟に思い浮かんだ数字をぽつりと口にした後、すぐさま後悔した
『0(ゼロ)、ねぇ…』
「え、あ、あの…!」
『いいんじゃない?マスター、この子は零(れい)と呼んでね』
「!!!?」
「畏まりました…それでは零さん、明日、お待ちしていますね」
綺麗に一礼して去っていったマスターを見送ってからも俺は引き攣る頬を抑えることが出来なかった…よりにもよって、と言うか…
『…?何かしら』
「いえ、…これは本当に必要なことなんですね?間違っても俺を揶揄って遊んでないですよね!?」
『あらそれも面白そう…でも残念ながら違うわ、今後必要になる…きっと、ね』
「っ…」
こいつ全部わかってて言ってるんじゃないよな…!!?
意味深に笑った彼女にそれ以上の追及は更なる藪蛇になりそうで、…俺はもう何も言えなかった
『時間は彼と相談して決めて。その間も任務は入るでしょうけど…出来る範囲で構わないわ』
「はぁ…(くそ、こっちも忙しいってのに)」
『言うまでも無いけどこの特別任務もこの場所も口外厳禁…いいわね?』
「えぇ…(だが、このマスターから彼女の情報について何か探れるかもしれない)」
この際諸々は置いておこう、目の前の状況を最大に利用してやる
大人しく頷いた俺に彼女は満足したように空になったカップを置いた
(ちなみに俺が違う数字を言っていたらどうしたんです?例えば1とか…)(決まってるじゃない、一郎よ)
(…ネーミングセンスは無いようですね)(何か言ったかしら)(…)
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ココア - え…お終わり…更新……更新お願いします!ずっと待ってます (2021年4月29日 1時) (レス) id: ab23c258b6 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - この作品、とても好きで何度も読み返しています。そして毎回続きが気になる・・・。いつか更新される日がくることを願っております。 (2021年4月24日 15時) (レス) id: ba39ddeb66 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり!?めっちゃ気になる(;´Д`) (2021年4月17日 20時) (レス) id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Maho(プロフ) - 途中までですが、読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年8月21日 11時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
しをり - こういう作品、待ってました!更新頑張ってください!応援してます! (2018年7月16日 18時) (レス) id: 0010456d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏 | 作成日時:2018年2月19日 0時