vix leo a cap of coffee ページ20
そこまで思い出すとマスターが持ってきてくれたカフェラテを一口含む
優しい甘味が口を満たして思わず口端が緩んだ
ちりん、と鳴るベルの音ともにどこか甘い薫りが風と共に入り込んできた
Le「……」
『……久しぶり、ヒョン。……会いたかった』
射した影を黙ったまま見上げるとそこには口の中に広がるよりも甘く、優しい笑みを浮かべたAがいた
ーーー
『……ごめんね、遅く、なって、…、待った??』
Le「……平気、思い出してた」
『……??』
Le「初めて、お前と、ここで」
そこまで言うとAはぱちぱちと目を瞬かせてくすりと笑った
言葉は少なくてもお互い言いたいことがわかり合える関係はとても心地いい
『会った、時のこと?……懐かしい、ね。ヒョン、真っ白だったの』
Le「………うん、Aは真っ黒だったね」
あの日は撮影の合間だったこともあって白のセーターに白のパンツだった。白に近い金髪だったこともあってAは俺のことを天使みたいだといった
まぁよくそんな目立つ格好で変装もしなかったもんだと自分自身に呆れるがあの時は本当に頭が回っていなかったのだろう。
でもそのお陰でAは俺が追われているのが見えて、咄嗟に助けてくれたらしいから結果的には幸いだった。
対照的にAは漆黒の髪、黒のシャツとスキニー、黒の編み上げブーツだったからAの比喩を少し借りるなら悪魔みたいとでも言うべきか、
でもAの微笑んだ顔はとても神秘的で、それは俺の警戒心をするりと紐解いた(じゃなきゃこの俺が初対面の男と呑気に珈琲を飲むなんてあり得ない)
『…ふふ、あの後おれのこと探して、、ヒョン暫くここに通ってたって、聞いたよ』
Le「ブッ……だ、誰がそんなこと…」
Aが嬉しそうにそう言うから思わず珈琲を吹き出してしまった
『えー……?ちがう、の?…マスター』
「ふふ、そうですねぇ…確かに何も仰いませんでしたけど…来る度きょろきょろしてはAくんがいないのに肩を落として、珈琲を頼んで帰る彼はとても可愛らしかったです…」
Le「!!!…やめてくれ…!」
丁度Aの分の珈琲を持ってきたマスターは悪戯そうににっこり笑った
ーーー
Aが淹れてくれた珈琲はとても美味しくて、謎めいているが穏やかで静かな雰囲気の彼にあっという間に興味を持った
だが言葉を交わしてつかの間、ファンに追われていたことがばれたらしいメンバーから電話が大量に掛かってきたせいで帰らなくてはいけなくなった
vix leo a cup of coffee 2→←vix leo moment 3
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作者名:奏 | 作成日時:2015年11月11日 12時