触れあいたい。/sn byいにゅ。 ページ9
しんぺい神side
肩に顎を載せて後ろから抱き締めると、髪が揺れてふわりと甘い香りがする。
女の子の匂いって感じがして、好きだ。
どこもかしこもやわくて頼りない彼女の体は、本人は痩せたいってよく言うけれど、おれとしてはもう少し肉をつけてもいいと思ってる。
頸に唇を寄せる。押し付けるように触れた肌はまだ悪ふざけの域を出ず、拙い戯れにころころと笑う彼女が愛しいなと思った。
彼女と出会って気づいたことがある。おれは指で性感を得るらしい。
仕事中は指先の感覚も貴重な情報源だと思っていて、爪には必ずやすりをかけるとか、ワセリンベースの業務用クリームを塗るとか、そういった手入れだけは欠かさない。
けれど、おれは彼女が好きだから、彼女にたくさんこの指で触れたいと思ってしまう。
彼女にもずっと俺を好きでいてほしいと思うくらいには強欲だ。
何度も触れて、何度もキスをした。舌先を尖らせて肌の上を走らせる。
すきだ。好きだ。体中全部を愛したい。おれに君のすべてをください。
そんな情けない懇願に、肩を縮こめるようにはにかむ彼女が愛しかった。
「A、耳、たべてもいい?」
「えっ」
れる、と耳殻に舌を這わせる。じゃれ合いから、少しだけ色を含んだ空気に変わるこの瞬間が恥ずかしくて嬉しい。
「耳だけね」
「え、ええ」
あ、と漏れた声に体が熱くなる。
おれにとってはいつでも大切な女の子だけど、女になってしまう彼女も大好きだから仕方ない。仕方ないのである。
「俺も男だからね、ふふふ」
「うええ、いじわる笑いやめて……」
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