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最愛/gr 幾汰 ページ12
君の流した水滴はとても綺麗だった。
拭うこともできず、ぽたりと床に落ちる。
真白な部屋、
Aと俺だけの監獄の中。
「グルちゃん」
ひたり、と俺の頬に触れる手の温もりが心地良かった。
「私ね、幸せよ。
グルちゃんの側に居られること、
グルちゃんに閉じ込めてもらえること。」
「本当か？」
一抹の不安は拭えない。
「ほんとだよ」
足に着けられた枷を鳴らしながら、彼女は言う。
孤高の、清廉な花嫁。
「なぁ、A」
「その綺麗な黒髪も、
夜を閉じ込めたような澄んだ瞳も、
薄い紅色の唇も、
陶器のような白い肌も、
しなやかな二本の腕も、
扇情的な細い脚も、
鈴の音のような声も、
その可愛らしい笑顔も、
全部、全部、
俺の物にして良いか？」
一つ一つに触れ、存在を確認する。
儚い、花のような彼女。
「もちろん」
微笑を浮かべて、頷いた彼女の唇に浅く口付けて
愛しい愛しい、俺の恋人。
続く
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