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触れた/eml 幾汰 ページ11
「好きです」
目を伏せたら、涙が零れ落ちるような気がして
真っ直ぐ貴方の目だけを見ていた。
紙と珈琲の匂いに満たされた部屋。
何度も通い詰めたこの部屋ともさよならする時が来たのだ。
私と彼の関係は、先生と生徒
それ以上でも、それ以下でもないのに。
この思いは、隠し通さなければいけない物なのに。
伝えてしまったのは私の我儘。
「ごめんなさい、教授。」
これでもう、貴方の前から居なくなるから。
愚かな私を許してください。
振り返らない彼に背を向けて、ドアノブに手を掛ける。
瞬間、ぐわりと視界が暗転して、
珈琲と微かな煙草の匂いに包まれる。
「謝らないでください、Aさん」
「私も貴女が好きですよ」
私が一番聞きたかった言葉が頭上で囁かれる。
大好きな貴方の腕の中。
私はまだ、無力な子供のまま。
最愛/gr 幾汰→←これはしょうがなかったんや /tn byいにゅ。
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