【d!】救えない君と終末を (ページ27)

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報告書25 ページ27

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しんみりとした空気は苦手だ。
だから、私の話でこんな空気にならないで欲しい。

os「あのさ、ちょっといい？見当違いやったら申し訳ないんやけど、使い捨て、って訓練不足で獣にやられるってことやんな？」

鋭い。いまいち理解していないグルッペンさんは首をかしげている。

一位武官はすっかり話す事を私に丸投げしている。
全くなんて上司だ。正確には上司ではなく私の所有者なのだが。

『黄金妖精には、自身の魔力を暴走させるっていう自爆技があるですよ。島に大きなクレーターを作るくらいの威力です。』

普通に戦うだけでは殺せない、例えば100以上の皮を持った六番の獣を倒す時は、これを使うか島を落とすの2択だ。

勿論護翼軍の選ぶ選択肢など見え切っている。

『因みに業界では妖精郷の門を開く、なんていいます。』

妖精兵の主な死に方は、妖精郷の門を開くか、前世侵食の2つである。

獣にやられてしょぼ死する前に、妖精郷の門を開いてしまうため、未だ獣にやられた者はいない。

痛みを感じないため、腹に太い枝が刺さったって、平気で遊び回る幼子もいるが、ナイグラートのお陰か死んだ子はまだいないらしい。

後者が圧倒的に少ないため、普通は戦場で命を散らしていくのだ。
兵器としてぴったりの死に様である。

へらり、と表情を崩して笑った。
曇った2人の表情は晴れない。

『みてください、ここ。』

資料の束を捲り、妖精郷の門について、と書かれた頁を指さした。

訓練中及び戦闘中含め、A・トゥエ・インサニアの妖精郷の門を開くことを禁ずる。
緊急時は45番島を落とす事。

そう書かれた文。
普通では有り得ない話だ。

他の妖精兵が来れれば、彼女らが妖精郷の門を開くことになっただろう。
しかし、今ここにいるのは赤髪の少女だけである。
応援が来れるほど妖精兵も多くない。

『私は死にませんし、ここも必ず守ります。』

そう強く宣言すれば、二人はほんの少しだけ表情を和らげた気がした。