それは君のほう *火野映司 ページ30
空白様リクエスト
コツコツと響くブーツの音。
スレンダーなパンツスタイルは、恋人に会いに行く女の子としてあまりなってないかもしれないが、彼はこういう私が好きな格好をしているのが一番好きだと言ってくれたから。
待ち合わせ場所付近まで来ると、いつも通りの彼が私に気付いてパッと顔を明るくさせる。かわいいな、と表情を和らげれば、そんな私に大きく手を振ってくれた。
「A!」
「映司くん、ごめん。待たせたかな」
「ううん、待ってる時間も楽しかったから大丈夫!」
「っ、全く…」
恥ずかしげもなく言ってしまう少しキザなセリフ。でも、映司くんのことなので本心である。信じられん。
彼は私の手を取って、そのまま引いた。となりに立つと、ヒールのある靴を履いているにも関わらず、彼の方が背が高いことをひしひしと感じる。
映司くんを見上げると、その後ろに自転車が来ているのが見えた。ベルを鳴らす様子もなければ、スピードも早い。
「映司くん」
「うわ、っ」
一歩引いてから、ぐっと手を引いて倒れかけた彼を抱き留める。その瞬間、自転車が映司くんの背後を去って行った。
「危ないな…、怪我はない?」
「っ、か、かっこいい……!!」
少し体を離して、映司くんの顔を覗き込むと、明らかにときめいた顔をして私に抱き着いた。
「やっぱりAは世界一かっこいいね!」
「ふは、そんなことないんだけど……ありがとう」
そう言うと、大きな悲鳴と共に、映司くんの後ろを先程の自転車が倍のスピードで逆方向に去って行く。何かあったのかとその方向を見ると、現れたヤミーが暴れているらしかった。
「A、ここにいて」
「…気を付けて」
「うん、もちろん」
安心させるようにとんとん、と背中を叩いて、彼は私を離す。普通でないそれに立ち向かう彼は、誰よりかっこいい。
今日はメダルを預かっているらしく、彼はアンクくんが来ずとも変身した。やっぱり、"そんなこと"なかった。
Jealous of the Devil *五十嵐一輝→←Black Cocoa *五色田介人(黒)
278人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「特撮」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠夢(プロフ) - *桜もち。さん» ご感想ありがとうございます!お褒め頂けてとても嬉しいです……!応援の言葉までありがとうございます。自分なりに頑張りますね! (1月12日 17時) (レス) id: 5e7eb9f08a (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - 初めまして…!主様の小説を初めて拝見させて頂きました!凄く読みやすくて素敵な文章だと思いました✨無理のないように更新頑張って下さい…! (1月10日 20時) (レス) @page44 id: fae296cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
悠夢(プロフ) - 余白のむらさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると気持ちが楽になります…!早く帰って来れるように頑張りますね! (2022年2月6日 23時) (レス) id: 5e7eb9f08a (このIDを非表示/違反報告)
余白のむら(プロフ) - 私も他のジャンルに沼って小説がかけなくなることが多々あります……笑 悠夢さんが帰ってくるまで待っています! (2022年2月6日 21時) (レス) @page24 id: 3edb9aa810 (このIDを非表示/違反報告)
悠夢(プロフ) - 稜雅さん» 初めまして。ご感想とリクエスト、ありがとうございます!お楽しみいただけているようで良かったです!センさんのお話かしこまりました。 (2022年1月23日 10時) (レス) id: 5e7eb9f08a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:悠夢 | 作成日時:2021年12月19日 8時