【しゆん】Many Action【騎士A】 (ページ8)

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「やほ、じゃなくて…！」

「え、だめだった？」

ｺﾃﾝ､と首を傾げて子犬のような表情で見つめてくる。

そんなのどこで覚えてくるの……！！
というかそんなふうに聞かれたら、嫌でしたなんて言えない…！…いや、そもそも嫌ではないけども！！

ぐぬぬ…となっているわたしの心情を察したのか、ニヤッと笑みを浮かべたしゆんは、わたしの頭をぽんぽんと軽く撫でると、「はい、お邪魔しマース」と靴を脱いで部屋に上がった。

「ねぇ、こういう時だけフッ軽になるのなんで？」

まるで自分の家かのようにリビングのソファに腰掛けてくつろぐしゆん。
ぐるぐる考えちゃうわたしに、ぽんぽんと自分の隣に座るよう促す。

2人で座るとなかなかの密度になる小さなソファ。
必然的に近くなる。

不思議。

さっきまでひとりだったのに。

この部屋にしゆんがいるだけで別の場所みたい。

ドキドキするわたしなんかつゆ知らずのしゆんは、先程コンビニで買ってきたであろう缶チューハイのフタをプシュと開けていた。

いや、早い早い。

ぷは、と一口飲み終えると、改めて私の顔をじっと見つめて口を開いた。

「……なんかフツーに会いたくなった」

「っ、えっ？」

サラッと発言された予想外すぎる答えに思わず驚いた。

「は？え、なに、まさかホントに飯のために俺ここに来たと思った？」

「それは、まぁ」

だって、LINEのやり取り的にその流れだったじゃん。

「俺ご飯のためにわざわざ動かねーよ。
お前に会いに来たんですー」

そう言いながら、呆気に取られてるわたしの頬をむにっと優しくつまんだ。

「…え、何か言ってもらっていい？w
割とはずいんですけど」

「こっちの方が恥ずかしいんですけど」

「でも、嬉しいでしょ？」

なんて言いながら、つまんでいた手が優しく頬を包む。

ゆっくり近づいて優しくキスを落とした。

唇が離れ、間近で目が合うとニヤッと悪戯な笑顔を浮かべると、

「たまにはこーゆーデートもいいかもね」

なんて再び唇を重ねた。

そのキスは、レモンとほんの少しお酒の匂いが混じった、なんとも大人の味がした。