【しゆん】Many Action【騎士A】 (ページ12)

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「ねぇ、しゆん、タバコって美味しいの？」

きっとこの質問は幾度となく聞かれてきたとは思うが、わたしも気になるは気になる。

「えーー…ん〜…味っていうより、なんか雰囲気？」

なんともふわっとした回答が帰ってきた。

まぁ、しゆんも困るだろうなと思いながら聞いた私も悪いか。

「雰囲気…ね…」

「うん。だからAは吸わなくていいからね」

「えぇ」

それは理不尽では？と不満げに答える。

「早死にするよ」

そう少し寂しそうに言いながら、スルッとわたしの左手をからめとる。
夜風で少し冷たくなったしゆんの指輪がわたしの指にひんやりと触れた。

言ってることとしてることが矛盾してるのよ。

「……それはやだけど」

そう私が言葉を紡ぐと、またタバコをくわえる。
交わらない視線が少し寂しい。
繋いでいるしゆんの手をぎゅ、と固く握り返して続けた。

「死ぬ理由にしゆんがいるって思うと、それはそれでいいかもね」

ベランダから広がる夜景を見つめるしゆんに向けて、少しおどけて笑ってみた。

ふぅ、と煙を吐き切ると、まだ残っているのに、傍にあった灰皿でタバコを消し潰した。

そして、サラサラの綺麗なシルバーの髪をガシガシとかきながら

「おまえなぁ…」

と呆れたように呟く。

「ほんと。かなわん」

なんて言いながらも、どこか嬉しげな笑顔を浮かべる。
そして繋いでいた手をスルッと解いた。