それは不可抗力から始まった・・・のかもしれません。

冷たいのは ページ23

歩幅はしっかり合わせてくれるのに、全く視線を合わせようとせず、口も開かない水上さん。
コミュニケーションプラザに入ってもこの調子なので、さすがに心配になってくる。

怒らせちゃったのかな・・・・・？世話が焼ける奴って。
お礼も言えなかったしな・・・

「あの、水上さん・・・」

灰色のパーカーを少し引っ張って。小声で、話しかける。
彼は立ち止まったものの、やっぱり視線を合わせてくれない。
それでも勇気を出して、口を開く。

「あの、水上さん、怒っているんですか・・・？」

「えっ？」

「あの、ほら、目も合わせてくれないし、
口もきいてくれないし、怒らせちゃったのかな、と・・・」

「――――」

途端に瞳をキョロキョロさせて、私を引っ張る水上さん。
ちょっとだけ人気(ひとけ)の無い所に連れられて。耳元で、水上さんのささやくような、小さな声が響く。

「・・・サークルの先輩に見られて、揶揄われるのが嫌だったので。もう、普通に話しても大丈夫ですよ。」

そう言って、私の両の手の甲を、親指でそっと撫でる。
ひんやりと冷たいその指に触れられるたびに、どうしてこんなに安心してしまうのだろう。


それから長いような、短いような時が流れて。
ようやく、手を離した水上さんが口を開く。

「ほんと、ごめんなさい。
・・・あの、多目的教室３はこのフロアなので、もう少しですよ。」

「うわ、ちょっと、緊張しますね・・・」

「まあ、みんな明るくて面白い方々なので、すぐに馴染めると思います。
・・・クイズをプレイする上では、いい先輩ですから。」

どこか含みを持たせて水上さんが呟く。

「・・・井ノ宮さん。」

「何ですか？」

ドアに掛けた手に、水上さんのそれが重なって。
彼の声が、吐息ごと、耳に届く。

「クイズ以外の事で、あの人たちが言うことを、
真に受けないで下さいね。」

「？・・・はい・・・・・・・」








どこまでも手にこだわってやがるな！
どうも、アリストテレスです。
上記の言葉は友達から言われたのですが。
まあ、水上さんも、鶴崎さんも、井ノ宮ちゃんの手を触りまくってますもんね(笑)。
それ以上ができないという・・・・
こういうシーン、もう少し続きます。もどかしくて、すみません。

もうちょっとお二人には勇気出してもらえるよう、
私も頑張りますので、よろしくお願いしますね。

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