ありえないこと ページ15
どう、いう・・・こと!?
問題を読み始めてから15分後、私はその問題を、
信じられないようなものを見る目でみつめていた。
何度、何度見直しても、そこから読み取れることは変わらない。
それなのに、いくら解き直しても答えは求められないまま。
式も、途中の計算過程も、本来の公式を少し変化させただけの、
(私達から見れば)初歩的なもの。なのに、どうしても
答えが出てこない。
一体、どこで間違えたの・・・・・・・・・?
ここの計算過程は複雑だけど、逆算で確認済みだから、
やり方は合っているはず。
問題でちょこちょこと、小規模な足し算、引き算も出てくるけれど、
そういったものの見落としもないと思う。
じゃあ、ホントにどこで?
そのとき。突然、私の視界に白い右手が入ってきた。
その手は迷うことなく、問題用紙の一点を、スッと指さす。
「・・・ここ、引っ掛けです。ほら、文章をよく見てください。
この状態のままだと、条件に当てはまらないので、その公式は使えないんです。」
・・・・・え?
水上さんは、あっけにとられる私そっちのけで、説明を続けていく。
「この公式が使えないから、この式を簡略化して、もう一つの公式を使うんです。ほら、こっちとこっちとか。」
・・・・・つまり、方法を見直すってこと?
「そうやって求めた答えを、一番先に使った式に当てはめれば・・・」
「もう一つも同じように求めて、出てきた2つの答えを計算するんですよね?」
「・・・そういうことです。」
そうして問題を解くこと5分。水上さんは、答えが記された私のプリントをちらっと見て、『正解です』と呟いた。
そして、急いだように荷物をまとめる。
・・・なんだ、そういうことか。
私は、そのことに気がついた。
水上さんは、私に優しくしているんじゃない。
早く帰りたいだけ。
そう考えると、昨日あんなことがあったのに、
今日ここまで分かりやすく問題を教えてくれたことも、納得がいく。
そっか・・・じゃあ私、どうしたらいいのかな・・・・・
なぜか瞳から雫が零れそうになって、慌てて目をこする。
そっと目を開くと、水上さんが、こちらをじぃっと見つめていた。
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mathgirl - (下記の続き)流石に限界らしく、ここに来るのは難しいそうです。私もこの作品を読んでいたことを知っていたのか、前触れもなくこんな状態になってすまない、と言っていました。多分、この作品は更新できないと思います。急なお知らせですみません。 (2017年12月16日 15時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
mathgirl - すみません、Ariceの妹です。個人のスマホを持っていないので、姉と同じIDになっています。姉は受験生ではないのですが、最近部活に忙しく、志望校に行くための勉強や、資格の取得でどうしてもこちらへ来れないそうです。テスト前までは粘っていたようですが・・・ (2017年12月16日 15時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
Arice - 良いですよね!彼ならドラえもんにも勝てるんじゃないか?と思えるくらい強いし・・・私は、好きなキャラは決められませんが、卓也さんを見ていて、いつも笑っちゃいます(笑)。 (2017年11月26日 12時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - Ariceさん» 内人です!一番の苦労人(とかいてドラえもんと読む)って感じがするので・・・! (2017年11月26日 11時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
Arice - 分かります!私も大好きなんです!時が進む事に、どんどん壊れていく創也の観察日記を書きたい(笑)。月読命さん、都会トムで気に入ってる登場人物とかっていますか? (2017年11月26日 10時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Arice | 作成日時:2017年10月13日 20時