しるし ページ12
リリン・・・リンリンリン・・・・・・・
スマートフォンのアラームが、止まっていた時を動かす合図のように、静かに鳴り響く。
「わっ、もう七時?ごめん、もう帰らなきゃ!」
物凄く慌てたように、荷物をまとめるつる。
そこには、さっきの『私が見たことない』普通の男の子みたいな、獰猛(どうもう)な影は見当たらなくって。
余りの変わり身の速さに、
ほっと胸を下ろす自分と、
さっきのは夢っだったのかな?って思う自分と、
・・・・・・・・どこか残念に思っている自分がいた。
「・・・あっ、そうだ。知香にこれ、プレゼント。」
ドアに手をかけたつるが、何か思い出したように、くるっと、こっちを向いて私の手に乗せたのは。
「絆創膏?」
「うん。もう二度と知香が悲しいことに合わないように、っていうお守り。みんなからも見えるように、手の平とか、目立つところにつけてね。」
「分かった。・・・あっ、これ、ジャスミン?」
「うん。『ハゴロモジャスミン』っていうんだけど。こういうの滅多に見ないなあ、って思って、この柄にしたの。結局知香にあげることになったけど、気に入ってくれた?」
「うん、とっても可愛い。ありがと。」
「どういたしまして。・・・・・・・・ねえ、知香。」
「ん、どうしたの?」
私がそう言うと、急に私の左手首を引っ張るつる。バランスを崩した私は、つるの胸に顔を埋めてしまって、周りがよく見えない。
つるは、それを待っていたかのように、そっと耳打ちする。
「絆創膏、ちゃんと毎日つけてね。」
魅惑のように甘いその声に、私は頷くしかできなかった。
つるは、また一瞬だけさっきの顔で微笑んで、その後私の知ってる顔に戻った。
「良かった。じゃあね、知香。」
安心したように、バイバイ、って笑うつるに、私は何も言えずにお別れをしたのだった。
ハゴロモジャスミン
モクセイ科ソケイ属
強い香りが特徴
花言葉は、『あなたは私のもの』
49人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mathgirl - (下記の続き)流石に限界らしく、ここに来るのは難しいそうです。私もこの作品を読んでいたことを知っていたのか、前触れもなくこんな状態になってすまない、と言っていました。多分、この作品は更新できないと思います。急なお知らせですみません。 (2017年12月16日 15時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
mathgirl - すみません、Ariceの妹です。個人のスマホを持っていないので、姉と同じIDになっています。姉は受験生ではないのですが、最近部活に忙しく、志望校に行くための勉強や、資格の取得でどうしてもこちらへ来れないそうです。テスト前までは粘っていたようですが・・・ (2017年12月16日 15時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
Arice - 良いですよね!彼ならドラえもんにも勝てるんじゃないか?と思えるくらい強いし・・・私は、好きなキャラは決められませんが、卓也さんを見ていて、いつも笑っちゃいます(笑)。 (2017年11月26日 12時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - Ariceさん» 内人です!一番の苦労人(とかいてドラえもんと読む)って感じがするので・・・! (2017年11月26日 11時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
Arice - 分かります!私も大好きなんです!時が進む事に、どんどん壊れていく創也の観察日記を書きたい(笑)。月読命さん、都会トムで気に入ってる登場人物とかっていますか? (2017年11月26日 10時) (レス) id: d1012bafe4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Arice | 作成日時:2017年10月13日 20時