君と出逢えた奇跡【1】 (ページ10)

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岸side

衝撃的な初対面から数週間

何処から漏れたのか
うちの事務所に女の子が入り
King＆Princeに加入するのではないかと
ネットのニュースで取り上げられた

本当はツアーが終わってから
発表をするはずだったらしいけど
騒ぎが大きくなる前に
事務所から正式に彼女の加入が発表されると
批判の声は瞬く間に広がる

世間の批判の声も
メンバーからの否定する声も
全部受け止めているはずだけど
それでも彼女は決して辞めるとは言わなかった

.

　『おはようございます』

岸「…あ、おはよう」

　『今日は宜しくお願いします』

都内にあるレコーディングスタジオ
仕事の都合で今日は二人だけで
新曲のレコーディングをすることになった

まだ打ち解けていない俺たちの間に
これと言って会話は無く
気まずい雰囲気を漂わせていると
先にスタッフさんに呼ばれたのは俺だった

.

いつも通りのレコーディング
念入りに聴き込んで来たから
スムーズに終えることが出来た

　『やっぱり岸さんの歌声は素敵ですね』

レコーディングブースから出ると
彼女は手を叩きながら感嘆の声を上げる

岸「…そう？ありがとう
　俺たちの曲を聴いてたんだ？」

　『はい、日下部さんに
　しっかりと曲を覚えるように言われました
　特に私は岸さんの声を聴きなさいと』

岸「俺の声？」

　『そうなんです、私と岸さんの…』

ス「Aさん、始めましょうか」

何か言いかけたタイミング
そこでスタッフが彼女を呼んだ

『はい』と返事をした彼女は
俺に軽く頭を下げると
緊張の面持ちでブースへと入って行く

.