君と出逢えた奇跡【1】 (ページ6)

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　『………です…』

殺伐とした空気の中
俺たちの真ん中に小さな声が聞こえた

　『出て行かないです
　私はKing＆Princeのメンバーとして
　この世界で生きて行きます』

紫「……はあ？」

　『これは日下部さんが望んでいたこと
　だから私はその想いを継ぎたいんです』

さっきまで俯いて怯えているように見えたのに
彼女は紫耀を真っ直ぐに見上げていて
その姿からは強い意志を感じられた

紫「………認めない」

　『………』

紫「俺は認めないからな！」

海「ちょ、ちょっと！紫耀！」

紫耀は彼女を強く睨み付けると
苛立ちを隠そうともせず
ドアを乱暴に開けて部屋から出て行った

廉「俺も無理やわ」

神「ごめん、俺も…」

紫耀に続いて廉、それから神も部屋を出て
岸くんは追いかけようと立ち上がったけれど
頭を掻いてから直ぐにまた椅子に座った

廉は紫耀と同じで
受け入れるなんて出来ないようで
神も気持ちは同じだけど
相手が女の子だから強く言えないんだと思う

岸「……ん〜…どうしよっかな…」

岸くんだって本当は
受け入れるなんて出来ないだろうけど
リーダーとして中立で居ようと
葛藤しているように見えた

マ「…とりあえずは次のダンスレッスンから
　本格的に合流する予定です」

岸「………はい」

海「分かりました」

　『宜しくお願いします』

彼女は俺たち二人に深く頭を下げた

これが…AとKing＆Princeの出会い

俺たちは先の未来を不安に感じたけれど
会った早々に怒鳴られてしまった彼女は
この瞬間、どれほど怖かったかな

でも…それでもAは怯むことなく
『宜しくお願いします』と言った

まだ彼女のことは良く知らないけれど
そこに嘘はなくて相当な覚悟を持って
この場に居るんじゃないかって思えたんだ

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