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やがて司会者が曲名を告げると
流れ始めたイントロ
Aはスタートから
怪我なんて感じさせなくて
寧ろ気迫さえ感じられた
体が小さい分、俺たちに負けないように
ダイナミックに動き
時には女性らしく繊細に踊る
そんな彼女の勢いに
メンバーもサビに向かうほど
ダンスの熱量が上がった
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そして一気に駆け抜けた３分ほどの時間
最後に６人が音楽と共にダンスを終えると
全員が肩で息をして
そのシルエットが映し出される
ス「CM入りました！」
曲が終わって直ぐに
CMに入ったことがスタッフから告げられ
無事に終わった…と、思った瞬間…
紫「A！？」
隣で息を切らせていた彼女の体は
もう立っていることさえ出来ずに
力を無くして俺に向かって倒れて来た
メンバーの焦った声も次々と聞こえる中
抱き留めたAの体は
ダンスをした後なのに冷んやりとして
名前を呼んでも応えてはくれなかった
紫「マネージャー！直ぐに車を！」
マ「直ぐに出せます！」
紫「エンディングだけ何とか誤魔化して」
岸「分かった！Aを頼む」
海「A！」
廉「………A」
神「紫耀、急いで！」
本当は出演者全員がステージに並んで
番組はエンディングを迎える
だけど…Aの体力も
俺たちの心配も限界を越えてしまっていた
だからもう…これ以上は
彼女に無理をさせるなんて出来なかった
紫「……A…よく頑張ったな」
『………』
Aを抱えて病院へと向かう中
初めて彼女を褒めてあげることが出来た
ずっと言えなかった言葉
それを口にすることが出来た理由は…
俺との約束を守って
CMに入るまで倒れずに
自分の足で必死に立ち続けていたAが
健気で無性に愛おしく感じたからだった…
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つづく
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2023年4月20日 14時
