君と出逢えた奇跡【1】 (ページ44)

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廉「……みかん？」

神「柚じゃない？Aの苗字だから」

　『なるほど』

海「ねぇ！それより早く読んでよ！」

大切そうに手の平に乗せたままの封筒を
海人が早く開けるように急かす

その言葉でメンバーの視線を集めたAは
座っていたパイプ椅子から
勢いよく立ち上がった

　『待って！先に一人で読みたい』

海「え〜、一緒に読みたい」

神「初めてのファンレターなんだから
　まずはAだけに見せてあげようよ」

海「そっか！そうだね
　じゃあ後で見せてね、A」

　『うん、ありがとう』

一人になるとは言っても
生放送の出番まで待機しているから
控え室から出ることも出来ず

部屋の隅にパイプ椅子を自ら運んで
ポツンと一人になると
彼女はまた暫く未開封の封筒を見つめていた

廉「ふふ、よっぽど嬉しいんやろうな」

岸「俺も初めてのファンレターのことは
　今でも忘れられないもんな」

紫「そうなんだ、何て書いてあったの？」

岸「…え？……それは…………忘れた」

海「……うわ〜」

神「たった今、忘れられないって
　言ったくせにね」

岸「ど忘れしただけだって！
　いつもはちゃんと覚えてるから」

普段から行われる
こんなくだらないやり取り
メンバーが集まる仕事で
一番の楽しくて幸せな時間だ

だけど…Aがファンレターを
読み終えるのを待ちながら
意味の無い会話でメンバーが
リラックスをしている時だった

　『……痛っ！………っ…！？』

俺たちから離れ
ファンレターを読んでいたはずのAが
突然、大きな声を上げたんだ

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