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あまりにも衝撃的な光景に
俺たちは言葉を失っていたけれど
冷静に行動をしてくれたのは紫耀やった
紫「岸くん！」
岸「……あ、うん！」
岸さんを呼び桃に近づいた紫耀は
ハンガーを振り上げた手を押さえ
岸さんと二人で暴れる桃を取り押さえた
その間に海人と神はAへと駆け寄り
名前を呼びながら体を抱き上げている
海「A！大丈夫！？」
『………海人？…神くん？』
神「ごめんな…気付いてやれなくて」
そんな中…俺はただ唖然として
何もすることが出来なかった…
桃「廉くん！違うんだよ！
これはAさんが襲って来たから
自分の身を守っていただけなの！」
紫「黙れ」
岸「全部バレてるんだよ！」
桃「………っ！？廉くん！信じて！廉くん！」
何故か桃は縋るように俺に訴えかける
まるで自分が被害者なんだと
信じて疑わないような叫びだった
だけど…
海「…何だよ、これ」
悲しそうな海人の声
それにつられて視線を向けると
神が抱えた彼女のパーカーの裾が
捲り上がり露わになった背中
その背中には痛々しいほどの無数の痣
それを見た俺は微かに頭の中にあった
信じられないという気持ちが
一気に消え去り
桃に対して怒りが芽生えた
廉「全部…嘘やってんな」
桃「………廉くん」
廉「こいつに恨みでもあるんか？」
桃「………」
涙を流して俺に泣きついたよな？
あの全てが騙されていたんやと思うと
自分にさえも腹が立った
もしも、また桃が泣いて否定をしても
きっと同情なんてしてやられへんと思ったのに
桃の瞳には涙どころか
光さえも感じられなかった
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2023年4月20日 14時
