君と出逢えた奇跡【1】 (ページ20)

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それから、また別の仕事の日

雑誌の撮影とインタビューを受ける為
集まっていた控え室を後にしたけれど
私は忘れ物をしていることに気が付いて
慌てて一人で控え室へと戻って来る

　『みんなに迷惑を掛けちゃうな
　急いで戻らないとね』

誰も居ない控え室
私はノックもせずにドアを開けた

だけど…

誰も居ないはずなのに
そこには桃ちゃんの姿があって

しかも…彼女は
明らかに永瀬さんの私物のバックを漁っていた

　『……桃ちゃん？』

桃「……っ！」

　『その荷物…永瀬さんのだよね？
　何をしてるの？』

私の質問に動揺の色を隠せない桃ちゃん

例え何かやましいことをしていても
そんなことを素直に答える人は居ない

そう思っていたけれど…

桃「誰かに言ったら殺すよ？」

　『……え？』

桃「折角、父親の力を使って
　廉くんに近付けたのに邪魔しないで」

　『何を言って……』

桃「そもそも、あんたが悪いんだよ
　廉くんと同じグループに入るから」

いつもの可愛らしい桃ちゃんとは
まるで別人のような声と表情

それが怖くて彼女が近付くと
私の足は無意識に後ろへと下がっていた

　『……永瀬さんの…ファン？』

桃「ファンと一緒にしないで
　廉くんを知ったのは通っていた大学
　そこで一目惚れをしたの」

　『知り合い…だったの？』

桃ちゃんを紹介された時の
彼女と永瀬さんの距離感

それは今まで知り合いだったようには
少しも見えなくて
桃ちゃんが伝えたいことが重ならなかった

桃「あの時は…知り合いじゃない
　でもずっと廉くんだけを見ていたの」

　『見ていた…だけ？』

桃「だけじゃないわよ！
　彼が変な女に騙されないように
　近付く女は排除して
　廉くんを守って来てたんだから！」

異様さを感じる恋心

特に桃ちゃんの口から出た排除という単語が
私には恐ろしくて堪らなかった

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