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Aside
ツアー真っ只中の彼ら
本当はこのツアーが終わってから
私の加入が発表されるはずだった
だけど予期せぬ時期に世間にバレてしまい
最終の東京公演に向けての打ち合わせに
急遽、私も呼び出されることになった
集合場所の会議室があるビル
目的地の４階へ行こうとエレベーターに乗り
ボタンを押したら後ろの壁にもたれ
大きな溜め息を吐き出した
すると扉が閉まる寸前
誰かが身を滑らせ
エレベーターへと乗り込んで来る
紫「すみません！乗ります！」
『………平野さん……おはようございます』
紫「………」
丁寧に頭を下げてくれたのに
相手が私だと分かると
彼の顔は不快さを露わにする
そして小さなエレベーターの中
彼は私から一番離れた対角線上の隅に立ち
まるでバイキンから身を守るように
私に背を向け壁に体を預けていた
本当に…平野さんは私のことが嫌いなんだな…
悲しくて今すぐにここから逃げ出したいけど
日下部さんが大切に想っていた
彼らの中に居ることが日下部さんの願い
簡単に逃げ出す訳にはいかない
いつか平野さんにも
私を受け入れて貰えるように
全てを捧げて頑張らないといけないよね
.
エレベーターが４階に着くと
平野さんは扉が開き切るよりも前に
身を滑らせ大きな歩幅で歩き出す
彼の私を嫌う仕草に胸を痛めながらも
私は平野さんの背中を見失わないように
急いでエレベーターを降りた
海「おはよう！紫耀、A！」
紫「…おはよう」
『おはようございます』
岸「あれ？二人で来たの？」
紫「来る訳ないだろ」
持っていた荷物を机に叩きつけるように置くと
平野さんはパイプ椅子に勢いよく座り
その響いた音に会議室の中が静まり返った
.
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2023年4月20日 14時
