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あまりにも静かな空間で
窓を閉めているにも関わらず
外からは名前も分からない虫の声が響いた
廉「あのさ…」
最初に沈黙を破ったのは廉くんだった
先生に見つからないように
ヒソヒソと話していることで
今から秘密の会話が始まるような感覚
更に胸がドキドキとした
廉「Aちゃんは…」
『……うん』
廉「……Aちゃんは好きな人は居てる？」
『………え？』
突然の質問に驚いてしまった
ずっと私は廉くんが
好きなのかもしれないと思っていた
でも今はっきりと好きな人は？と聞かれたら
他の誰でもない目の前に居る彼だけが
その言葉に当てはまる存在なんだと
胸が切ない痛みとして教えてくれた
『…うん、居るよ』
廉「そうなんや…その人は友達というか
身近に居てる人？」
あまりにも急で
まだ気持ちを口に出す勇気は無いけれど
廉くんに対する想いに
嘘をつきたくないと思ってしまった
暗闇に段々と目が慣れて
隣に座る廉くんの姿が
さっきよりも見えるようになっていたので
私は首を縦に振って頷いて見せた
それに気付いた彼は体をこちらに向けると
また静かな声でこう言った
廉「俺も…好きな人が居るねん」
『………』
廉「……めちゃくちゃ近くに」
月に掛かっていた雲が流れたのか
月明かりが廉くんを真っ直ぐに照らし
更に良く見えた彼の瞳は
私に一直線に注がれ
光を含んでいるせいか輝いて見えた
見つめ合う私たちの時間
先ほど確信したはずの彼への想いが
今すぐにこの胸から溢れてしまいそうだった
廉「Aちゃん、俺…」
内「あぁ！居た居た！
見回りの先生がプールの方に行ったから
今のうちに正面から逃げるぞ！」
廉くんが何かを言い掛けたけれど
それは勢いよく現れた友達の声に掻き消された
廉「………」
内「早く！また見つかるぞ！」
廉「……行こうか」
『…うん、そうだね』
結局…あの言葉の続きを
私は知ることは出来なかった
だけど、この夜は
好きかもしれない…ではなく
間違いなく廉くんが好きだと確信した日だった
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莉衣子(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！私もこの神様がお気に入りです😊またお暇な時にでも読みにいらして下さいね！ありがとうございました☺️ (3月8日 13時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
mana - 平野さんの喋り方がすごく個人的に好きです!永瀬くんと最後に出逢えて良かったですね!!心温まるお話、ありがとうございました! (3月7日 23時) (レス) @page50 id: 0454c0eb42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2023年1月14日 11時
