◇ ページ32
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『これが…たこ焼き……いただきます！！』
思いがけないところで
憧れていたものを食べられる興奮で
私は勢いよくたこ焼きを口の中に放り込んだ
紫「あっ！そんなに一気に食べたら…」
『……っ！！熱っ！！…あ、熱！』
たこ焼きのとろけるような生地が
口の中で灼熱の海となった
慌てる男性の声を聞きながら
口の隙間から空気を取り込み
その温度を必死に下げる
紫「…おい、大丈夫かよ？」
『………はい、なんとか』
無事に咀嚼が出来るまで温度は下がったけれど
たこ焼きというものは飲み込む
その瞬間まで熱を含んだままなんだと
初めての感覚を覚えた
『………美味しい』
紫「何のこだわりも無い
普通のたこ焼きだけどな」
『………』
紫「……どうした？」
『こんなにも美味しいものが
この世界に…あったなんて…』
紫「ふふ、大袈裟だろ………って！
嘘だろ！？泣いてるのかよ！？」
初めて食べた美味しいたこ焼きに
私は涙が溢れた
知らなかった…
たこ焼きがこんなにも美味しくて
火傷しそうなほどに熱いことを…
やっぱり…この世界には
私の知らないことが沢山あるんだと
喜びと落胆…複雑な感情が胸を埋め尽くす
紫「…それ、バイオリンだろ？」
『………はい』
紫「その身なりからして
貧乏でお金が無いようには見えないな」
彼の視線の先には
私がベンチに置いたバイオリンケース
私がこの公園を通ったのは始めたばかりの
バイオリンのレッスンの帰りだったから
彼が言う通り私は貧乏でお金が無いのではない
寧ろお金に困らない裕福な家に生まれた
だけど父はとても厳しく
私が間違いを起こさないようにと
幼い頃から生活を細かく管理されている
私にはずっと自由が無かった…
両親が仕事で居ない間は
使用人が肩時もそばを離れず
部屋の中までもカメラで監視される
外で遊ぶことも許されない私に
友達なんて出来るはずもなく
学生時代はいつも一人だった
そんな生活が苦しくて
両親に泣きながらお願いして許して貰えたのが
このレッスンの帰り道３０分だけの
一人きりの時間だった
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莉衣子(プロフ) - みけさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！思ったより書けませんでしたが短編集を再開して良かったです。私も前向きに…と自分に言い聞かせてます！🥹 (5月17日 21時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
みけ(プロフ) - 短編集すごく面白くて楽しくて嫌な仕事を忘れられる時間でした。素敵な時間をありがとうございます！最後のお話に涙が出ましたが、莉衣子さんが前向きに考えて書いてくださったお話のように私も前向きに受け止められる日がくることを願います...!! (5月15日 21時) (レス) @page46 id: fa85b03389 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - 廉くん大好き。さん» 本当にそうですよね😔バラバラになっても応援すると思いながらも、やっぱり５人が…って思ってしまいます。最後まで読んで下さってありがとうございました☺️ (5月14日 21時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
廉くん大好き。 - お話し読ませてもらいました。感動して泣きそうになりました。やっぱりキンプリは５人のままがいいです。 (5月14日 8時) (レス) @page46 id: 2923af73fe (このIDを非表示/違反報告)
廉くん大好き！ - 廉くんが猫ちゃんだったらすごくかわいいだろうなって思いました。飼ってみたいとも思いました。 (2023年3月18日 11時) (レス) id: 25da82024a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年11月28日 13時
