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お客さんの歓声
目が眩むほどのフラッシュの光
お客さんの前に立つということが
私にとっては初めての体験で
大勢の人の目に付く仕事を選んだんだと
改めて身に染みて感じさせられた
舞台の中央まで歩いて来ると
両隣に居る紫耀と岸さんを見習い
お客さんに手を振り順番に自己紹介をする
次に岸さんが司会者から質問を受けて
映画の見どころなどを話すと
司「YURIさんは初めての映画出演でしたが
お相手の岸さんの印象はどうですか？」
『とても優しい方でした
頼りになりますし、岸さんが居ると
周りの人たちが笑顔になるんです』
岸「恥ずかしいですね」
紫「岸くん、照れてる」
司会者の質問にも何とか答えることが出来て
心配だった紫耀もいつもと変わらない
アイドルの平野紫耀の顔を見せていることに
安心したと同時に仕事を熟す彼を尊敬し
あの可愛い嫉妬を見れるのが私だけなんだと
また紫耀が愛おしく感じる
だけど穏やかな気持ちで
舞台挨拶を終えると思ったのに
司会者から意地悪な質問が飛んで来た
司「今、ネット上では
岸さんとYURIさんがお似合いだと
噂になっていますよね」
岸「…え？」
『………』
こんなこと聞かれると思っていなかった…
でも何故かお客さんは拍手をして
客席はとても盛り上がっていたんだ
司「映画のように二人の恋が
進展することはありますか？」
岸「…ど、どうでしょうね」
そんなことありませんと強く拒否をすると
私を傷付けると思っているのか
岸さんは曖昧な言葉で濁す
でも岸さんの言葉を聞きながら
隣の紫耀をこっそりと横目で見れば
口をぎゅっと閉じたり小さく膨らませたりと
その姿は昨夜と同じで
明らかに拗ねているように感じた
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年7月4日 22時
