深愛モラトリアム【2】 (ページ27)

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Aside

翌日は映画の公開日
初日の舞台挨拶が行われる

舞台の袖で登壇する時を待ちながら
紫耀とのツーショットをアップした
SNSをチェックしていた

　

　『………どうしよう』

昨夜のことを思い出し
直ぐにコメント欄に目を通したけれど
次々と映し出される文字を見て
紫耀の拗ねた顔が呼び起こされる

　【兄妹みたい】
　【昨日のきしゆりを見たから複雑】
　【紫耀くん、邪魔しちゃダメ】

そこにはお似合いなんて言葉は無くて
宣伝が始まった映画の影響か
やっぱり岸さんとの関係を推すコメントが
いくつも目に止まる

これは…紫耀には見せられないよね…

そう思ったのに…

紫「俺…お兄ちゃんじゃないし…」

　『…紫耀！？』

声が聞こえて振り返ると
そこには私のスマホを覗き込みながら
口を尖らせ拗ねる紫耀の姿があった

　『これは、きっと映画の影響で…』

何かしらのフォローをしようと思ったけれど
舞台の様子を伺っていたスタッフさんが
「お願いします」と、舞台へ上がるように
私たちに声を掛けてくれる

岸「よし！初日だから
　気合い入れて行こうぜ！！」

紫「……そうだね」

近くでメイクを直して貰っていた岸さんも
私たちを引っ張ってくれるみたいに
素敵な笑顔で呼びかけてくれた

結局、紫耀とはそれ以上
言葉を交わせないまま
私は岸さんの後ろについて行き
初めての舞台挨拶に向かうことになったんだ

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