深愛モラトリアム【2】 (ページ20)

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◇ ページ20

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　『…私も同じことを考えてるよ』

紫耀は驚いたように黒目を揺らす
引かれてしまったのかと不安になったけれど

次の瞬間、紫耀は私をお姫様のように抱えて
寝室のベッドへと向かった

そして背中にシルクのシーツの感触を感じると
すぐにまた深いキスを交わし
紫耀の手が私の服を乱し始める

紫「…優しく出来るように頑張るから」

キスの合間に
いつもより掠れた声が耳に届いて
まだ私を気遣う彼に胸が締め付けられた

　『頑張らなくて良いから』

紫「…え？」

　『紫耀の愛を全部ぶつけて欲しい』

罪だと思うほどの紫耀の愛を
私に受け取らせて欲しいんだよ

想い合う私たちにとって
それは罪などでは無いと
いつだって私が証明してみせるから

紫耀は驚いた声を漏らした唇を
今度は私の耳に寄せ囁いた

紫「俺の愛を全部ぶつけるなら
　朝まで眠れないよ？」

　『………うん、それでも良い』

朝まで…なんて言っていたけれど
紫耀は初めてだから私の体が心配だと
一度だけ優しく深く愛してくれたんだ

次から次へと与えられる
初めての感覚や気持ち

恥ずかしさや怖さ、そんなものよりも
ただ紫耀がくれる熱に溺れて行った…

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紫「あの約束を覚えてる？」

ベッドの中で彼の腕を枕にして
体の火照りを冷ましていると
紫耀は落ち着いた声で聞いて来た

紫「施設を出たら一緒に暮らそうって」

　『勿論、覚えてるよ』

二人の気持ちが同じだと確信した約束
私の希望であり絶望となった
あの日を思い出すと
紫耀が居るこの現実が夢のように思えた

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