63 おわり ページ16
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『紫耀が言ってくれたんだよ
たんぽぽのAが好きって』
紫「……え？」
『私は雑草のたんぽぽだから
どれだけの愛を注いでも枯れないよ』
紫「………」
『……だから…私は…紫耀に愛されたい』
恥ずかしいのか言いにくそうに
言葉を繋げているのに
しっかりと俺の目を見つめてくれるから
言葉を返してあげるよりも先に
彼女の背中に手を回し
胸に引き寄せ強く抱きしめた
やっぱり溢れて来る…Aへの想いが…
抱きしめているだけで
体中の遺伝子が彼女を求めるように疼くんだ
紫「もう…猶予はあげないから…」
『……猶予？』
紫「俺の愛から逃げられるようにしたのに…
それでもAが俺を選んでくれるなら
もう…全力で愛するからね」
きっと、もう止められない…
だから二度目の猶予はあげられないんだ
『……猶予なんて要らない』
紫「………」
『ずっと、それが欲しかったんだよ
だって私は…紫耀が大好…っ…』
再会してから
何度も伝えてくれていた言葉
だけど、その言葉をキスで閉じ込めた
今度こそは俺に伝えさせて欲しい
お墓の前で君のお母さんにも約束をしたから
あなたが命懸けで守ったAを
これからは俺が永遠に守りますと…
紫「A、愛してる」
溢れ出した愛をやっと彼女に伝えると
涙を零しながらAは笑った
その姿は注ぎ過ぎた水を物ともせず
それを力に変えて凛と咲き誇るたんぽぽ
この愛が罪では無いのなら
これから先、俺の中に宿る全ての愛を
たった一人の深愛なる君へ＿＿
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おわり
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年7月4日 22時
