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『……私…母の名前で呼ばれてたんだね』
私には似合わないと言われた幼い頃
それから芸能界に入って
更に多くの人から呼ばれていた名前
ずっと知りたかった母の名前で
私は今まで生きていたんだ
紫「…そうだな」
『………会いたいよ』
…会いたい
会って伝えたいんだよ…
産んでくれて…ありがとうって…
吐き出す声も止められないほど
泣き続けていると
突然、紫耀は私の体を強く抱きしめた
紫「……A」
『私ね…探せば会えると思ってた
でも、もう居ないんだね…』
紫「お母さんが眠ってる場所に
会いに行こう、俺も一緒に行くから」
『………うん』
子供の頃から手を繋いだり
体を寄せ合ったりしていたけれど
こんな風に抱きしめられるのは
初めてかもしれない
知らなかったな…紫耀の腕の中が
こんなにも安心するだなんて
離れてしまった時は
お互い大人になりきれていない子供だった
でも今は二人とも立派な大人
もう７年も離れて生きていたんだから
彼の気持ちが変わってしまうなんて
当たり前のことなんだよね…
『紫耀…ありがとう…』
ありがとう…人を愛することを教えてくれて
自信もなく、意気地だって無い私が
一人で東京に来て
こんなにも華やかな世界に
足を踏み入れることが出来た
そんな強さを持てたのは
全部、紫耀のおかげなんだよ
大好きだよ…ずっと…ずっと…
あなたはこれからも私の胸の中に居る
それはきっと永遠に変えられない
だから…紫耀との大切な記憶があれば
私は一人で生きていけるかもしれない…
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年7月4日 22時
