深愛モラトリアム【2】 (ページ4)

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　『私の母は…どこに居るんですか？』

わざわざ母親の親友が会いに来てくれた

だったら本当の母親は
今、何処で何をしているんだろう…

やっと言葉に出来た質問
僅かに柏木さんは視線を落とした

　

柏「Aさんは名古屋で育った？」

　『…はい、そうです
　名古屋の施設に置き去りされて
　このネックレスと名前の書かれた
　紙だけが入っていたそうです』

柏「そう、施設に…
　だとしたら私の親友があなたの母親で
　間違いないと思います」

　『……あの…母は？』

柏「あなたの母親は…亡くなっているの」

　『……え？』

紫「………」

……居ない？

私には会って聞きたいことがあったのに
もう会うことさえも…出来ない

俯く背中に紫耀は手を当てて
心配そうに私の名前をそっと呼んだ

紫「………A」

　『……大丈夫』

柏「今日、Aさんにお会いしたのは
　もしあなたが母親を探していたら
　親友の私が話してあげられることが
　あるかもしれないと思ったからです」

　『聞きたいです…
　ずっと思っていたんです
　育てることが出来ないのに
　何故…私を産んだのかを…』

柏「私が知ってることを全て話します」

　『宜しくお願いします』

知ることが出来る…ずっと知りたかった
私が生まれてきた意味

母親が亡くなっているのなら
全てを知るチャンスは今日だけだ

だとしたら…後悔をしないように
その真実が聞きたくないものだとしても
私は聞かなければいけない気がするんだ

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