誰かの運命の恋【2】

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　『怖い奥さんと結婚したのは
　 何か決め手があったんですか？』


岸「俺のどんな部分も
　 受け入れてくれるところかな」


　『どんな部分も？』


岸「良い部分を受け入れてくれるのは
　 きっと誰でもしてくれるんだ
　 でも悪い部分を受け入れてくれるのは
　 本当に大切に想ってないと
　 出来ないんじゃないかと思うんだ」


　『素敵ですね』


岸「やっべ、恥ずかしいな」







恥ずかしがる岸さんの言葉を聞いて
私の頭の中には廉の姿が浮かんだ





別の人への想いで泣き続けた私も
恋に踏み出せなくて
何年も待たせてしまった私も
変わらない気持ちで受け入れてくれた





これほどまでに私を大切に想ってくれる人は
きっと廉以外には居ない








岸「もうすぐ着くって」


　『そうですか』








スマホの画面を見ながら
岸さんがそう教えてくれると
後ろから可愛い声が聞こえて来た







　「みいちゃん待って！」

　「こっちだよ、早く」








小さな男の子と女の子が
楽しそうに追いかけっこをしながら
私たちの脇を走り抜けて行ったんだ







…みいちゃんか…懐かしいな






その可愛らしい姿を目で追いかけながら
幼い頃の光景が、ふと脳裏を掠めたけれど
もう苦しみや痛みは襲って来なかった








岸「子供が好きなの？」


　『私も子供の頃は
　 みいちゃんって呼ばれてたから
　 懐かしいなと思ったんです』


岸「Aちゃんなのに？」


　『南だから、みいちゃん
　 初恋の男の子のお母さんが好きな
　 アニメのヒロインと同じだって
　 その子がこの苗字を気に入ってたんです』


岸「初恋とか懐かしいよね
　 俺も初恋の大切な思い出があるんだ…」








初恋というワードに目を輝かせて
岸さんはその記憶を辿ろうとした







だけど…その話を聞く前に








紫「…え？Aちゃん？」








聞き覚えのある声で呼ばれた名前





この声は誰だっけ？と
頭がその声の主を探し出そうとした瞬間
私の目が映し出したのは
６年ぶりに見る紫耀くんだった








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