after story【奇跡を降らせる雪】 ページ44
.
廉「……あ、雪や」
仕事からの帰り道
最寄りの駅の改札を抜けて
暗くなった空の下に出ると
柔らかそうな雪が音も無く舞っていた
この街に雪が降るのは
あの日の誕生日以来で３年ぶりやった
雪を見るとAを失うかもしれないと
不安やった記憶が頭を過ぎる
でも、それ以上に
彼女が俺のところに来て言ってくれた言葉
��…廉、私と結婚して下さい��
あの言葉を思い出させてくれる雪を
俺は毎年、待ち望んでいたんや
吐く息が白く変わるほどの寒さに
身を縮めながらも
この雪をAにも見せてあげたいと
悴む手でポケットのスマホを探した
でもスマホを取り出したと同時に
同じポケットに入れていたパスケースが
軽快な音を立てて地面へと落ちる
その使い古したパスケースを拾う為に
手を伸ばした俺の視界には
自分の手よりも先に
パスケースを拾い上げた手が映った
『落としましたよ…って、廉？』
廉「あれ？A
もしかして同じ電車やった？」
『ふふ、そうかもしれないね』
嬉しそうに笑顔を見せるAを見て
俺の頭の中には更に深くて懐かしい
大切な思い出が蘇った
��今まで勉強頑張ったんだから
落ち着いて自分を信じれば大丈夫
一緒に頑張ろうね��
あの入試の日に彼女は
同じように俺のシャーペンを拾ってくれた
あれが無ければ
今、二人で生きていることはなかったんやな
あの瞬間にAに恋をした自分を
ほんまに誇りに思うよ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉衣子(プロフ) - enaさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！是非他のお話も読んでみて下さいね😄 (2023年1月14日 22時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
ena(プロフ) - 初めて占ツクで泣いた、、、、めっちゃ良かった、、、、 (2023年1月14日 15時) (レス) @page46 id: 9602eac128 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - ぬれおかきさん» こんにちは。泣いて頂けるなんて嬉しい限りです！是非また読んでやって下さい。他のお話もお暇な時にでも覗いてみて下さい！ありがとうございました😄 (2022年6月12日 21時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき - こんにちは！この小説初めて読んだんですけど、主人公に感情移入しすぎて号泣しちゃいました😭 主さん天才ですね！この小説が恋しくなったらまた読みに来たいと思います笑😁 (2022年6月12日 18時) (レス) @page46 id: e9500e9e81 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - ノンさん» ドラマと設定が一部だけ似てると思い公開を控えていましたけど全く違う展開でしたので公開しました。だからドラマが元ではなくて一応オリジナルです😊 (2022年6月4日 10時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年4月5日 10時
