65 ページ19
Aside
高校生の時はあんなにも
自分がみいちゃんだと
紫耀くんに気付いて欲しいと願ったのに
もう名乗り出ないと決めた途端に
気付いてしまうなんて皮肉なものだ
紫耀くんには私はみいちゃんでは無いと
嘘を付けば良かったのかな
そうすれば紫耀くんに
悲しい顔をさせることは無かったのかな…
未だに正解が分からないまま
何日もやり過ごしていた会社からの帰り道
重い足取りで夜道を歩き
マンションの近くまで来たところで
私はまた６年ぶりの再会を果たしてしまう
自分のヒールの音と重なり
向かいから近づいて来る足音に
何気なく視線を移すと…
美「……A？」
そこには嘘という日常に溢れる
ありきたりな行動で
私の運命を変えてしまった人が居た
『美波…』
紫耀くんとは違い、あの視聴覚室から
一度も話をしていなかった美波
彼女との再会の方が
私にとっては気まずいものだった
『……久しぶりだね』
美「うん…久しぶり、この辺に住んでるの？」
『…そうなの、そのマンション』
近くまで来ていたマンションを指差すと
美波は振り返ってそれを見上げる
美「私は先週、この近くに
引っ越して来たばかりなの」
『本当…偶然だね』
美「………」
私が感じている気まずさと同じものを
美波も感じているようで二人の間には
とても嫌な空気が流れていた
美「…元気にしてた？」
『そうだね、最近は仕事も順調で
上手くやれてると思う、美波は？』
美「…まあまあかな」
『そっか…』
美「…A、一応言っておくけど
紫耀とは別れたんだよね
運命の恋なんて
簡単に乗り越えられると思ったのに
みいちゃんじゃない私を
紫耀は好きでは居てくれなかった」
まさか美波から
この話をして来るとは思わなかった…
話を始めた美波は
わざとらしく溜息を吐くと
不快感を隠しきれない顔をしていた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉衣子(プロフ) - enaさん» 嬉しいコメントをありがとうございます！是非他のお話も読んでみて下さいね😄 (2023年1月14日 22時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
ena(プロフ) - 初めて占ツクで泣いた、、、、めっちゃ良かった、、、、 (2023年1月14日 15時) (レス) @page46 id: 9602eac128 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - ぬれおかきさん» こんにちは。泣いて頂けるなんて嬉しい限りです！是非また読んでやって下さい。他のお話もお暇な時にでも覗いてみて下さい！ありがとうございました😄 (2022年6月12日 21時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき - こんにちは！この小説初めて読んだんですけど、主人公に感情移入しすぎて号泣しちゃいました😭 主さん天才ですね！この小説が恋しくなったらまた読みに来たいと思います笑😁 (2022年6月12日 18時) (レス) @page46 id: e9500e9e81 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - ノンさん» ドラマと設定が一部だけ似てると思い公開を控えていましたけど全く違う展開でしたので公開しました。だからドラマが元ではなくて一応オリジナルです😊 (2022年6月4日 10時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年4月5日 10時
