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毒リンゴを落とさないように
急ぎ足で体育館に戻った
舞台袖に続く裏口を開けたら
既にオープニングの語りが流れている
私は慌てて目の前に現れた
短い階段を上がり始めたけれど
聞こえて来た二つの声に思わず足を止めた
美「どうしよう…怖くなって来た…」
紫「大丈夫、美波ちゃんなら出来るよ」
美「でも…」
紫「こうすれば安心出来る？」
そこには紫耀くんと美波が
幕の間に出来た隙間に立っていた
そして紫耀くんは
向かい合わせた美波の両手を
優しく握りしめた
美「…うん、安心する」
…あの手の温もりは
特別なことでは無かったんだ
ただ純粋に人混みが危ないから…
そして緊張して私が震えていたからなんだ
だから美波も怖がっていれば
こうやって同じように…
美「紫耀が居れば…頑張れる」
紫「俺も美波ちゃんと一緒なら頑張れる」
薄暗い舞台袖
紫耀くんと美波は手を繋いだまま
見つめ合った後おでこを重ね合わせた
違うよ…同じなんかじゃない…
あの手にきっと深い意味は無いけれど
寄り添わせる二人の額には
…私には知りたくない意味があるんだ
遠いよ…二人との距離は
たった数メートルのはずなのに
その間にはとてつもなく大きくて
流れの速い川が流れているみたいだ
私が焦りを感じていたのは
このせいなんだよ…
この劇で二人の距離が近づいていること
そんなこと分かってたんだよ…
だから、私がみいちゃんだって名乗ったら
私を見てくれるかもなんて
そんな卑怯な考えが浮かぶんだ
でも…私が紫耀くんに近づきたくて
川に足を踏み入れても
私はその流れには逆らえない
見え始めた私の恋の行方…
きっと…私は向こう岸には行けないんだ
二人から視線を逸らし
握りしめた毒リンゴを階段に置くと
私は誰も居なくなった教室へ戻った
…とてもじゃないけど
二人のキスシーンを見る勇気は無かったんだ
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莉衣子(プロフ) - さゆりさん» 読んで頂きありがとうございました☺️嬉しいコメントまで頂き有難いです。これからも頑張りますのでまた読みに来て下さると嬉しいです😄 (2022年5月4日 13時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
さゆり(プロフ) - おすすめにあって一気に泣きながら読みました！！運命かな？とっても素敵で切なくて温かいお話でした！これからも楽しみにしています！ (2022年5月4日 5時) (レス) @page46 id: c3a1464b6f (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - mさん» はじめまして、コメント有難うございます😊やっと2を公開しました。お暇な時にでも読みに来て下さい😃 (2022年4月22日 21時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - さくらえびさん» 遅くなりましたが続きを更新しました。ご期待に添える内容かは分かりませんが読んで頂けると嬉しいです😄 (2022年4月22日 21時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - はじめまして。夜中に一気に拝見し、深夜のテンションでコメントさせていただきます🥲似てる設定…かのきれかな😦って思いましたが、かのきれより全然面白いですドラマ化して欲しいくらい🥺🤭第二章楽しみにしています🥰 (2022年4月13日 3時) (レス) @page47 id: f8f66dee73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2022年3月25日 22時
