◇ ページ42
.
それから紫耀くんは
たまに永瀬くんを連れて私に声を掛けて来る
三人で何度か話をすると
永瀬くんは一人の時でも私を見つけると
声を掛けてくれるようになっていた
だけど…そうやって永瀬くんとの距離が近づくと
紫耀くんが私を呼び止めることが
無くなっていったんだ
.
昼休みの誰も居ない中庭のベンチに座り
ぼんやりと空を見上げた
何でこんなに…モヤモヤとするんだろう…
私は永瀬くんが好きだったんだよね？
その人と仲良くなれたんだよ
それなのに何でこんなにも
泣きたくなるんだろう…
見上げた空があまりにも綺麗で
その吸い込まれそうな空の美しさに
私は紫耀くんの
あの綺麗な瞳を思い出していた
紫「A？」
『…紫耀くん？』
中庭に現れた紫耀くんは
慌てたように私に駆け寄って来た
紫「どうしたの！？何で泣いてるの？」
『…え？』
私…紫耀くんを思い出して泣いてたんだ…
流れてしまっていた涙を拭うと
私は慌てて言い訳を考える
『…何でもないの、空が綺麗で』
紫耀くんは空を見上げると
また私を見下ろした
紫「…本当？」
『……うん』
紫「そっか…」
何か話したい
やっと紫耀くんと二人になれたから
何か話さなきゃ…
紫「廉と仲良くなれて良かったね」
『………』
紫「廉もね、最近よくAの話をするんだよ
だから…きっと上手く行くから」
違うの…永瀬くんの話をしたいんじゃないの
『あのね…紫耀くん』
紫「…何？」
廉「あ〜、紫耀おった
人にジュースを買わせに行かせたくせに
急におらんくなんなよ」
紫「……廉」
廉「あ、Aちゃんもおるやん」
両手にジュースを持った永瀬くんが
紫耀くんを探しに来たみたいだった
.
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莉衣子(プロフ) - しおりさん» 泣いてもらえるなんて嬉しいです！短編集の紫耀くんは幸せな話が少なかったので最後はハッピーエンドに出来て良かったです！ (2021年3月31日 8時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - こあさん» ありがとうございます！個人的に短編集が難しかったから、そう言ってもらえて嬉しいです。書き始めて良かったです！！ (2021年3月31日 8時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 最後のラブレターのお話で、短編だったのに見事に泣いちゃいました、、、主人公ちゃんと平野が幸せになって良かった、、、 (2021年3月31日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - 完結、おめでとうございます。莉衣子さんの短編集どの話も大好きです。最後の２つも最高でした！！！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: f6c76a4ec8 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - かいとんさん» かいとんさん、コメントありがとうございます。そしてリクエストもありがとうございました！海ちゃん褒められるのホンマ嬉しい、短編集じゃなく一つのタイトルでまた海ちゃん書きますね！玄樹くんのことは朝起きても悲しみは消えませんが彼の幸せを祈りたいです。 (2021年3月30日 8時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2021年1月6日 8時
