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ある晴れた日
今日は球技大会が行われていた
友達が居ない私にとって
何の楽しみもない行事だった
とりあえず周りに迷惑を掛けないように
目の前に来るボールをただ追いかける
そうやってバスケのコートの隅で
参加している風を装っていたら
隣のコートに居た岩橋くんと目が合った
玄「Aちゃん、頑張って！」
こんな私に応援までしてくれる可愛い笑顔に
思わず見惚れながらも
コクリと一度だけ頷いた
永瀬くんが悪魔なら
岩橋くんは間違いなく天使だよ
我ながら良い例えが思い付いたと
自分の中で納得していたら
見惚れていた岩橋くんの顔色が変わった
玄「Aちゃん、危ない！」
その声に気づいた時には
もうすでに遅くて
『痛っ！！』
顔面に激痛と硬いボールが
床に落ちて弾む音が体育館に響いていた
あまりの痛さで顔に手を当てると
そこにあるはずのものがない
…眼鏡…どこかに飛んでいったんだ
でも…もう良いや…
ブスを見られようが痛いものは痛いんだよ
眼鏡を探そうと顔を上げた途端
顔が何かに覆われて暗くなり視界を奪われた
廉「そのブス、隠しとけ」
永瀬くん…こんな時まで？
そんなにも私は見苦しいの？
自分の存在がとてつもなく恥ずかしく感じ
早く保健室へ逃げようと
慌てて立ち上がろうとした
だけど…私の体は足に力を入れる前に
ふわりと浮き上がったんだ
『…え？な、何？』
廉「おい！暴れんな」
逃げようと暴れた私の頭から
彼のジャージらしいものがずり落ちて
目の前に永瀬くんの横顔が現れた
廉「ジッとしとけ！意外と力無いんよ」
『………意外じゃないけど』
廉「落とすで？」
『…ごめんなさい』
廉「黙ってしがみついとけ」
『………はい』
お姫様抱っこなんてされたのは初めてで
どこに掴まっていたら良いのかも分からなくて
彼の胸の辺りの体操服をぎゅっと掴んだ
静かな校内に入っても
お互いに言葉を交わすこともなく
保健室に辿り着くのを待つ間
二人分の鼓動が聞こえていた
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莉衣子(プロフ) - しおりさん» 泣いてもらえるなんて嬉しいです！短編集の紫耀くんは幸せな話が少なかったので最後はハッピーエンドに出来て良かったです！ (2021年3月31日 8時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - こあさん» ありがとうございます！個人的に短編集が難しかったから、そう言ってもらえて嬉しいです。書き始めて良かったです！！ (2021年3月31日 8時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 最後のラブレターのお話で、短編だったのに見事に泣いちゃいました、、、主人公ちゃんと平野が幸せになって良かった、、、 (2021年3月31日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - 完結、おめでとうございます。莉衣子さんの短編集どの話も大好きです。最後の２つも最高でした！！！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: f6c76a4ec8 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - かいとんさん» かいとんさん、コメントありがとうございます。そしてリクエストもありがとうございました！海ちゃん褒められるのホンマ嬉しい、短編集じゃなく一つのタイトルでまた海ちゃん書きますね！玄樹くんのことは朝起きても悲しみは消えませんが彼の幸せを祈りたいです。 (2021年3月30日 8時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉衣子
| 作成日時：2021年1月6日 8時
