45 ページ45
.
『優太、ギター』
振り向くと彼女はベッドに腰掛け
自分の横をポンポンと叩いて
ギターを弾くように催促をしていた
俺は鼻水を勢いよく啜り
久しぶりにギターを手に取った
彼女の横に座ると
ポチは音が鳴るのを今かと待ち侘びる
彼女の前で初めて弾いた
あのきらきら星を歌いながら弾いたけど
自分の声が震えていた
懐かしいこのギターの音色…それから
この狭いベッドにまたポチが居ることが
嬉しくて…嬉しくて…涙が止まらなかった
岸「俺…格好悪いな…」
俺が俯きながら、そう呟いたら
ポチはいつの間にか俺の後ろに回り
背中に頭を預けるように寄りかかっていた
…格好悪いって言ったから
泣き顔を見ないようにしてくれてるのかな
『…きらきらひかる、お空の星よ』
俺の涙が落ち着くまで
ポチは繰り返し歌を歌ってくれた
可愛くて、優しい、優しい
その歌声は俺の心の中へと広がったんだ
.
『お月さま、まんまる』
背中の温もりが離れてしまったから
振り返り彼女を見ると
窓から月を見上げていた
月を見上げるポチの横顔はやっぱり綺麗で
差し込む月明かりが
彼女の為のものに見えてくる
岸「俺たちが初めて会った日も
満月だったの覚えてる？」
『満月、クリームパン、優太の匂い』
岸「そう言えば、あのとき匂いで
俺が分かったって言ってたね」
『うん、今もする優太の匂い』
俺の服や首元を犬みたいに
くんくんと嗅いでくる彼女を見て
俺は思わずポチを抱きしめていた
『優太の匂いがいっぱい』
そう言いながら俺の胸に顔を埋める
その姿が愛おしくて
胸の中に収まりきらないほどに
好きの感情が溢れ出して来る
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉衣子(プロフ) - 涼杜兄妹さん» いつも嬉しいコメントありがとうございます。めちゃくちゃ励みになります。岸くんはピュアさが国宝級ですよね。 (2020年9月4日 11時) (
レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 紳士でとても優しいピュアな岸くんだいすきです！しょうかいもとてもすきな立場でした！アザを見つけてしっかりダメって言える2人すてきですきです！フランク廉くんも必ずれてるシスコンぐうじも良きでした（笑）面白かったです♪ (2020年9月3日 10時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - ()さん» コメントもちろん覚えてます。そして大好きと言って貰えてめちゃくちゃ嬉しいです。平野さんのお話じっくり考えますね。ありがとうございます。 (2020年7月24日 18時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
()(プロフ) - 以前もコメントさせて頂きました！莉衣子さんの作品とても大好きです！新作楽しみです！いつかまた紫耀くんメインの作品も待ってます^ ^ (2020年7月24日 7時) (レス) id: 09347580ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉衣子
| 作成日時：2020年7月23日 23時
