検索窓
今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:65,813 hit

06 ページ6

.








神「その小説好きなの?
  俺も、その小説が凄く好き」


 『はい、好きです』


神「こっちは読まないの?」





彼は、まだ綺麗な下巻を指差していた





 『そっちは…読みません』


神「どうして?」


 『…わかりません
  でも読んだことはあるはずです』







そう…私は下巻を読んだことがある
だってこの小説の結末は知っているから




曖昧な記憶だけど
この物語はハッピーエンドで
終わっていた気がするんだ





神「…そっか、また読んでみてね?」


 『……』





彼に嘘が付けなかった
だって私は何故かこの下巻を読めないから





神宮寺さんは悲しい表情で
真っ直ぐ視線を離さないから
私は俯いて顔を隠した





 『…コーヒーで良いですか?』





彼が何も注文していなかったので
この空気を壊す為に話題を変える





神「え?あ…そうだね」


 『マスター、コーヒーお願いします』





ここでミルクティー以外の
注文は初めてだったせいか
マスターが驚いた様子を見せた






神「ここには小説を読みに?」


 『はい…多分、神宮寺さんは?』


神「俺はね…」


マ「はい、お待たせしました」






彼が話し始めたタイミングで
コーヒーが運ばれて来る




テーブルの真ん中に置かれたコーヒーを
彼の前にそっと寄せた





神「ありがとう」





コーヒーのカップから立ち上がる湯気に
顔を寄せると「良い匂い」と
彼はまた綺麗な顔で優しく微笑んだ









.

07→←05 小さな変化



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (203 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉衣子(プロフ) - きゅんさん» 初めまして。是非他のも読んでやってください!ありがとうございます。 (2021年1月10日 9時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - はじめまして。読んでいくうちにどんどん引き込まれていって、最後には涙が溢れて止まりませんでした。莉衣子さんの作品他のもぜひ読ませていただきます! (2021年1月10日 1時) (レス) id: 530e3ffe95 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - Nさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2020年6月26日 13時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - すごい泣きました。素晴らしい作品、ありがとうございました。 (2020年6月26日 12時) (レス) id: 909ed19fee (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - pipi_kpさん» コメントありがとうございます。読んで下さって嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:莉衣子 | 作成日時:2020年6月20日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。