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神「その小説好きなの?
俺も、その小説が凄く好き」
『はい、好きです』
神「こっちは読まないの?」
彼は、まだ綺麗な下巻を指差していた
『そっちは…読みません』
神「どうして?」
『…わかりません
でも読んだことはあるはずです』
そう…私は下巻を読んだことがある
だってこの小説の結末は知っているから
曖昧な記憶だけど
この物語はハッピーエンドで
終わっていた気がするんだ
神「…そっか、また読んでみてね?」
『……』
彼に嘘が付けなかった
だって私は何故かこの下巻を読めないから
神宮寺さんは悲しい表情で
真っ直ぐ視線を離さないから
私は俯いて顔を隠した
『…コーヒーで良いですか?』
彼が何も注文していなかったので
この空気を壊す為に話題を変える
神「え?あ…そうだね」
『マスター、コーヒーお願いします』
ここでミルクティー以外の
注文は初めてだったせいか
マスターが驚いた様子を見せた
神「ここには小説を読みに?」
『はい…多分、神宮寺さんは?』
神「俺はね…」
マ「はい、お待たせしました」
彼が話し始めたタイミングで
コーヒーが運ばれて来る
テーブルの真ん中に置かれたコーヒーを
彼の前にそっと寄せた
神「ありがとう」
コーヒーのカップから立ち上がる湯気に
顔を寄せると「良い匂い」と
彼はまた綺麗な顔で優しく微笑んだ
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莉衣子(プロフ) - きゅんさん» 初めまして。是非他のも読んでやってください!ありがとうございます。 (2021年1月10日 9時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - はじめまして。読んでいくうちにどんどん引き込まれていって、最後には涙が溢れて止まりませんでした。莉衣子さんの作品他のもぜひ読ませていただきます! (2021年1月10日 1時) (レス) id: 530e3ffe95 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - Nさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2020年6月26日 13時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - すごい泣きました。素晴らしい作品、ありがとうございました。 (2020年6月26日 12時) (レス) id: 909ed19fee (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - pipi_kpさん» コメントありがとうございます。読んで下さって嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉衣子 | 作成日時:2020年6月20日 10時