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あの事故は全国的にニュースになるほど
凄惨なものだった



暴走したトラックが歩道に突っ込み
沢山の方が犠牲になっていたにも関わらず




勇太に守られていたおかげで
私はかすり傷程度だった





勿論この時はまだ
記憶を失ってなどしていなかったんだ








私は毎日、眠る勇太のところに来て
二人の思い出話をしたり
勇太の好きな音楽を流してみたり




それから手を握りながら大好きを伝え続けた




勇太の回復を信じて
何ヶ月も懲りずに同じことを続けたけど
彼が目を覚ますことはなかった





 『…どうして私を助けたの?
  あの時、私を助けなければ
  勇太は今も笑ってたのかな?』





この頃から私は彼はもう一生
目を覚ますことは無いんじゃないか
もう二人で笑うことは無いんじゃないかと





…勇太を信じる気持ちに翳りが出ていた






次第に眠ることも
ご飯を食べることも出来なくなって来て




だけど、勇太から離れることは
もっと出来なくて



どんなに体がフラフラでも
私は勇太の病室に来る








そして、あの日ベッドに眠る
勇太の寝顔をスケッチブックに描きながら




思い出すのは出会った日のことや
あの純喫茶で過ごした日々
最後に交わした幸せな言葉たち





二人の思い出を巡り返す度に
私は勇太を失った喪失感が増していた





彼の絵を描き終えると
私は眠る勇太にキスをした






 『勇太、大好き…ずっと一緒に居ようね』






勇太が眠り続けて半年が過ぎたこの日





私は勇太と一緒に死のうとしたんだ…








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莉衣子(プロフ) - きゅんさん» 初めまして。是非他のも読んでやってください!ありがとうございます。 (2021年1月10日 9時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
きゅん(プロフ) - はじめまして。読んでいくうちにどんどん引き込まれていって、最後には涙が溢れて止まりませんでした。莉衣子さんの作品他のもぜひ読ませていただきます! (2021年1月10日 1時) (レス) id: 530e3ffe95 (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - Nさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2020年6月26日 13時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)
N(プロフ) - すごい泣きました。素晴らしい作品、ありがとうございました。 (2020年6月26日 12時) (レス) id: 909ed19fee (このIDを非表示/違反報告)
莉衣子(プロフ) - pipi_kpさん» コメントありがとうございます。読んで下さって嬉しいです。 (2020年6月24日 0時) (レス) id: b19a23a34c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:莉衣子 | 作成日時:2020年6月20日 10時

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