〜 天使注意報 〜

勧告その３５ ページ35

・天音・





カアーカアー





カラスが呑気に鳴く夕暮れ・・・



突貫作業1日目終了





「 お疲れ様、天音ちゃん 」





玄樹会長に爽やかに言われた



えくぼと笑顔のコラボが可愛くてつい見惚れちゃう





「 俺の車で送る 」





講義が終わった美勇人が大学部から高等部に来てる



出入り禁止のはずなのに、いわゆる生徒会ＯＢ特権だって



後輩への指導という大義名分が通るらしい





「 だ、大丈夫。 自転車あるし 」





狭い空間に美勇人と二人っきりは困る



すぐひっつくし、身の危険を感じる



急いでカバンを持って、



その後も何か言う美勇人を無視して生徒会室を出た



小走りで生徒玄関に着くと・・・





【 ん・・ 】


【 はぁ、ジェ・・ 】





お取り込み中の男女の姿



時と場所を考えて欲しい・・・



しかもわたしの靴箱の前



声かける？ 咳払い？ 終わるまで待つ？



対処法が見つからない





「 おい、留学生。 邪魔だ 」



「 ！！ 」





わたしの後ろには勇者・松村くん





「 おっ、天音来たな 」
　


「 じゃ、またね。 ジェシー 」





あっ、お別れのキスしてる



ちゃんと交渉成立してるみたい





「 なに睨んでるんだ？ 」



「 なにしてたの？ 」



「 暇つぶし 」





『 お前が来るまで 』って・・・

　

わたし待っててなんて頼んでないし





「 おら、帰るぞ！ 」





バイクの後ろはもうコリゴリ



そう思って、今日は捕まる前に自転車で登校したのに・・・



ジェシーといても身の危険を感じる



小脇に抱えられる前に逃げようとしたら





ドン！！





長い脚がわたしの退路を断つ



これって壁ドンならぬ『 足ドン 』ですか？



ならば・・・

　



「 えっ？ 天音ちゃん 」



「 はっ？ 天音！！ 」





しゃがんでジェシーの脚の下を匍匐前進



背中に松村くんとジェシーの驚きの声がぶつかる



構わず全力ダッシュで逃走した





・

勧告その３６→←勧告その３４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す