夜中に、君と

Lost ページ26

紫side



抜け殻のようになった

そんな自分が嫌で現実を見ないようにした






1人になって広くなったはずの部屋は
ゴミが散乱して、足の踏み場すらない







「康二…」




いつも口から出ていって気づく


無意識に名前を呼んでは

返ってこない返事に落胆する






自分が招いたことだとしても
自分の情けなさが、愚かさが浮き彫りになって



どうしようもなくなる







「ふっか、これもうやめろ」




持っていたタバコを取り上げられる




「……うっせーな」




今の俺を康二が見たら
なんて思うんだろう




こんなやつだったのかって

失望するかな




「なぁ、お前さ」




照が眉をひそめて声をかけてきた




「なんで、そんなになるまで相手のこと放ってたんだよ」




純粋な疑問ですか、




「分かんねーよ、俺はあいつに甘えてた
俺の前から居なくなるなんて絶対しないと思ってた」







「まだ、好きなんだろ」




そんなの、俺が言っていい立場じゃない



「それなら、頑張れよ」





頑張れなんて簡単に言うな
あいつの気持ちを無下にしていたのは


俺なのに




「今更、あいつになんて言えばいいんだよ」






･

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す