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紫side
あれから数日
忘れることが出来なくて
我ながら女々しいと感じつつ
あのバーへと通い続けていた
今日もまた例外なくその店を訪れていた
「いらっしゃい」
この間だてさんと呼ばれていた
その人は俺が入るや否や声をかけてきた
「いつものですか」
「あー…それで」
お酒の種類は分からないし
カッコつけて飲みたい訳でもないので
ワインを1杯飲むのが恒例と化した
目の前にグラスが置かれ
思わず顔を上げた
「お目当ての人とは会えそうですか」
「どうですかね…」
あなたの知り合いを待ってます
なんて言えそうもなくて
曖昧に答えた
「来ますよ、きっと」
優しく微笑まれ
女の子だったらイチコロだろうな、と
思わず感心する
一口目を飲んだところで
ドアが開く
「いらっしゃい」
何日ぶりだろうか
2度目の再会となった
「ね、言ったでしょ?」
だてさんは俺の耳元に顔を近づけて
そっと囁いた
「なんで知って……」
「バレバレですよ。
康二、こっちに来て飲みなよ」
手招きされてなのか
ゆっくりと俺のひとつ隣に座った
"あれ、この間の……深澤さん?"
意識しないように、見ないように
していたけれど
相手から顔を覗かれて
思わず心臓が跳ねる
「今日こそ、1杯付き合ってください」
こうなったらなんとでもなれ
自分の心にムチを打ち
この間のように1杯誘う
"じゃあ、1杯だけやったら"
だてさんは、ふっと小さく笑った
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桜空(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2020年5月28日 16時) (レス) id: f4e6341de5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - コメント失礼します!毎回楽しみにしてます!更新楽しみにしてます(*´˘`*) (2020年5月27日 23時) (レス) id: 96cc352ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜空 | 作成日時:2020年5月9日 15時