・ ページ22
紫side
「どうしたの、こんな所で」
"……え?"
初めて会ったのは、特別に何かあった訳でもない
それでも、何かに魅了されて
声をかけたのは本当
「なんか、こんな所に来る感じじゃないから」
暗めのこのバーは
なんだか彼とは不釣り合いで
"あぁ、知り合いがここで歌ってるんやけど…"
「あの人?」
今マイクを握り中央で歌っている人を指すと
誇らしげに笑った
"うん、そう。お兄さんは?"
話題を振られて思わずなんて返そうかと
迷いつつ、口にする
「ちょっとした出会いを求めて」
一瞬固まって、
直ぐに目元が優しく細められた
"嘘やろ、笑
お兄さん、絶対モテるやん!"
緊張が解けたのか
関西混じりの言葉が少しずつ増えていって
なんだか愛らしくて
帰したくないなぁ……なんて
「名前、なんて言うの?」
"お兄さん、まずは自分の名前からやで"
「あ、俺は深澤……君は?」
"康二"
「素敵な名前だね、似合ってる」
知らないうちに口から飛びだした言葉
でもどれも本心で
"お兄さん、女の子口説く時も
そんなふうに言うんやろ"
「違うよ、そんなことない」
最後の一口を飲んで、康二はバーテンダーに声をかけようとしている
「ねぇ、1杯奢るから付き合ってよ」
"それは、俺なんかじゃなくて
女の子にでも言うてや笑"
くすくすと小さく笑って
"だてさん、また来るな!
お兄さんもばいばい"
まるで友達かのように満面の笑顔で別れを告げていった
・
433人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜空(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2020年5月28日 16時) (レス) id: f4e6341de5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - コメント失礼します!毎回楽しみにしてます!更新楽しみにしてます(*´˘`*) (2020年5月27日 23時) (レス) id: 96cc352ed4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜空 | 作成日時:2020年5月9日 15時