桃橙 ページ6
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時々、無性に "愛" が欲しくなる
誰からも、俺は必要とされていない様な
漠然と
感じてしまうねん
そんな時には
誰かに見つけて欲しくて
けど、そんな所を誰にも見られたくなくて
天邪鬼な自分に嫌気がさしたり
そうなると殻に閉じ籠るしかなくなって
「……ふっ…」
膝を抱えて
誰にも分からないように
声を押し殺して
きっと、みんな気がついてるのと思うんやけど
それでも声をかけてきたりはしない
それは優しさ故なんか
また別の何かなんか
俺には分からへんけど
それが有難いような
そうでないような複雑な気持ちになる
だから余計に止められへんねん
誰かの足音
それが、近づいて俺の前で止まった
バサッと何かが投げられる音と
頭の上に乗せられた衣服
微かに香ったこの香りは
きっと佐久間くん
「あっちぃな！！」
様子はわからへん
ただ、その声で佐久間くんやって
確信はもてた
そのまま足音は離れていく
「なんか今日暑くね？」
「嘘つけ、お前さっき寒いって言っただろ」
遠くの方で聞こえる会話
確かに、今は冬真っ只中
外は雪だって降っている
でも、ごめん佐久間くん
まだこの上着は返せそうにないねん
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作者名：桜空 | 作成日時：2020年3月9日 8時
