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episode7 ページ7
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彼は、
『困っているなら、
お力になれませんか？』
と言って、
私の顔を見て。
私も、
彼をじっと見つめた。
言葉はもう、
いらなかった。
自然と唇が重なる。
すぐに離れて、
少し遠慮がちに目を合わせると、
彼は優しく微笑んだ。
『…かーわいっ。』
その言葉が私の頭で処理される前に、
もう一度、
唇が重なる。
彼の手が後頭部に置かれ、
徐々に深くなる。
さっきまで静かだった玄関に、
いやらしいﾘｯﾌﾟ音が響く。
逃げようと思えば簡単に出来るけれど、
私の身体は動かない。
まだ、
離れたくない。
手を彼の背中にまわすと、
彼の温かみが
身体全体で感じられた。
しばらくして、
彼が後頭部から手を下ろした。
少し離れて、
見つめ合う。
彼は少し戸惑いがちに、
こう言った。
『このことは秘密ですよ。』
それだけ言うと、
仕事が忙しい彼は、
『また来ます。』
なんて意味深な言葉を残して、
去っていった。
･
そのまま私は、
しばらく動けなかった。
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作者名：かずな | 作成日時：2016年2月14日 22時
