運命なんてありません。 (ページ8)

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「隣」ページ8

松村side

松村 )おはよ、慎太郎。

森本 )おはよ、北斗。相変わらず早いね。

俺ら4人はいつも一緒に登校していた。
家から出てくる順番は俺、慎太郎、ジェシー、樹。

樹はとにかく朝に弱い。
どんな寝方をしたらそんな寝癖になるんだろうと思うくらい、酷い頭で目を瞑って登校する日もあるくらいだった。

森本 )昨日、何で2人で帰らなかったの？

松村 )…怖かったんだよね、2人きりになってからも樹からしたら俺は他人でしょ。

森本 )けど、思い出すしてもらう為には行動しないとでしょ。

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田中 )この後、抜ける？

松村 )嫌って言ったらどうするの？

田中 )言えるなら言ってみ？

いつからかはっきりと覚えてないけど俺と樹はいつも途中から2人きりで帰宅をするのが日課だった。

その後はどっちかの家に行ったり、偶に駅前にあるクレープを食べに行ったり、誰でもするようなごく当たり前の時間を2人で過ごしてた。

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ジェシー )おはよ〜！

ジェシーに続いて樹も揃い4人でいつも通り登校する。
並び順は前にジェシーと慎太郎、俺と樹は後ろだった。

だけど今隣には慎太郎が居て、ジェシーと樹が後ろから着いてきている。

田中 )昨日から何か違う…

後ろから聞こえてきた声に振り返れば、樹が困った顔をして俺と慎太郎を見詰めていた。

田中 )何か上手く言えないけど、違うんだよ。

松村 )ふふ、ならこうしよ？

俺が樹の隣に立てば何も言わなくても、昔と同じようにジェシーと慎太郎が前を歩き出してくれた。

田中 )…まだこの方がいいわ。

隣に俺が立った事に樹はいつものように照れた顔をしていた。
この素っ気なさも、照れ隠しからだろう。

松村 )…好きだよ、樹。

歩き出した背中に吐き出した言葉をいつかちゃんと、樹に直接届けたいと思った。