運命なんてありません。 (ページ7)

今日:13 hit、昨日:29 hit、合計:13,138 hit

「枕」ページ7

京本side

俺はこの街に生まれ育った。
昔から治安があまり良くなくて、毎日喧嘩や争いが耐えなかった。

昔の俺は弱くて喧嘩なんてした事が無かった。
そんな俺の傍にずっと居てくれたのが北斗の血の繋がらない兄であるゆう君だった。

俺とゆう君は幼い頃からずっと何をするにも一緒だった。
5歳になってすぐ、ゆう君に3個下の弟が出来た。
責任感の強いゆう君は弟である北斗の事を何が何でも自分で守ると言って、どんどん逞しいお兄ちゃんの顔になっていった。

そこからは俺も自分の事は自分で守るようになった。
意外と喧嘩のセンスがあったのか高校生になる頃には、俺は誰にも負けない程に強くなっていた。

.

高地 )聞いてる？

京本 )ぇ、何？

高地 )ぼーっとしすぎ。だから、北斗の様子。

今は俺の家で2人でソファーで寛いでいる所だった。
柄にもなく昔の事を思い出していたら、ゆう君が隣で何か話しかけていたらしい。

京本 )慎太郎達が上手くやってくれると思うよ。今日も4人で帰ってたし。

高地 )そっか。

俺とゆう君は付き合ってない。
この鈍感な弟溺愛野郎に俺の気持ちは一生伝わらないのかもしれない。

ただ俺達は腐れ縁で、ずっと一緒に居るだけ。

ゆう君が俺を意識する事なんて絶対無いしそんな日は来ないとすら思う。

高地 )北斗の事を樹が全然覚えてないって知った時、俺どうしよって思った。北斗が傷つく姿は見たくない。

樹に試しに松村北斗を知ってるかと聞いたのも、もしかしたらと思ったからだ。

京本 )そんなに気になるなら本人に聞けばいいじゃん。何で俺なの？

高地 )入院してた時に樹の事聞かれたんだけど、俺答えられなくて。そこから北斗と少し気まずくてさ。

京本 )…そんなの知らないし、俺明日も仕事で朝早いから、今日はもう帰って？

高地 )嫌だ、泊まる。

こっちの気も知らないで泊まると言い張るゆう君はそこから1ミリも動く気は無いようで、仕方無くベッドに枕を2つ用意した。