第2章「違和感」 ページ6
田中side
慎太郎が彼の腕を掴んで俺らの所まで連れてこようとしているのを見ると、何故か胸がザワザワして1秒でも早く2人を引き裂きないと思ってしまった。
気付いたら腕の中にまで抱き締めていて北斗は驚いた顔で俺を上目に見上げてきた。
松村 )…ふふ、慎太郎の言う通りだ。俺も樹にはやっぱり思い出してほしい。だから、改めて北斗です。これからよろしくね?
田中 )こちらこそ…?
そう言うと北斗はそっと俺の腕の中から抜け出し微笑んでくれた。
その笑顔がめちゃくちゃ可愛くて心臓の音がうるさくて、間違えなく心が北斗を求めていた。
ジェシー )北斗やっと笑ってくれた。
松村 )え?
ジェシー )俺、めちゃくちゃ不安だった。樹の事何も伝えてあげれてないし、北斗が戻ってくるって知ってかなりビビった。この先どうなるんだろうって。けど決めたわ、俺も協力する。
そう言って立ち上がったジェシーは俺らの所まで来ると勢いよく北斗を抱きしめた。
田中 )だから北斗に触んなって…
森本 )思い出してないくせにそういうのずるいよ?
ジェシーと北斗を引き離そうとすると、悪戯に笑った慎太郎が後ろでご飯を食べながら割って入ってきた。
松村 )そうだよ。思い出すまでは樹に触ってあげないから。
田中 )はぁ〜!?
昼休みがこんなに一瞬で過ぎたのは何だかとても久しぶりに思えた。
.
学校が終わりいつもと同じ帰宅路を4人で歩く。
何だか変な感じというか、俺だけ何も覚えてない訳で。
3人からしたら日常が戻ったんだよな…?
松村 )樹ってば!
田中 )え、何?
松村 )だからこの後どうすんのって聞いてる。
田中 )この後、抜ける?
考えるより先に口から出た言葉。
3人とも驚いたような顔をしていたけど、直ぐに北斗は先程の可愛い笑顔に戻った。
松村 )…せっかくだから4人でどこか行こうよ?
あれ。
何だろう、この違和感。
上手く言えないけど違うって事だけは分かる。
思い出せ、俺。
いつも北斗は俺に何て言ってた?
俺の言葉に何て返事をしてくれていたのだろうか。
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作者名:のと。 | 作成日時:2024年1月29日 14時